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2015年『褥瘡予防・管理ガイドライン』の改訂ポイント

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褥瘡ケアの指針となる、エビデンスに基づくガイドライン

 日々進化する医療において、過去の常識は現在の非常識ということも少なくありません。褥瘡ケアにおいても同様で、過去には創部を日光に当てたり、ドライヤーで乾燥させたりといったケアが行われていた時代もありました。しかし現在は、褥瘡発生のメカニズムやアセスメントの手法、予防、ケアの研究が進んでいます。これまでの大きな出来事としては、褥瘡発生のメカニズムにおいて長く指摘されてきた「圧迫と時間」が、「圧迫と応力」に修正されたことが挙げられるのではないでしょうか。また、褥瘡の経過の評価スケール「DESIGN-R®」が開発され、褥瘡のアセスメント手法が確立されたことで、エビデンスに基づくケアを実施できるようになりました。
 日本褥瘡学会では2005年に『科学的根拠に基づく褥瘡局所治療ガイドライン』を、10年目の節目を迎えた2015年、『褥瘡予防・管理ガイドライン』の第4版を発表しています。
 本ガイドラインは、現在、多くの病院、介護施設などで行われている褥瘡予防やケアの指針となっています。今回の改訂は、大きな変更はないものの、2012年の前回改訂以降に蓄積されたエビデンスをもとに、推奨度や推奨文の変更がいくつかみられます

ポイント1:CQの追加と推奨度の変更

 『褥瘡予防・管理ガイドライン』は、保存的治療、外科的治療、全身管理、リハビリテーション、スキンケア、体位変換・ポジショニング、体圧分散マットレス、QOLなど、全13項目からなり、それぞれに該当する臨床的疑問(CQ※)と推奨度、推奨文が設定されています。今回の改訂でCQが追加されたのは、スキンケアの項目で1つ、体位変換・ポジショニングの項目で2つでした。

〈追加されたCQ〉
[スキンケア]
・集中治療中の患者の褥瘡発生予防に、どのようなスキンケアを行うとよいか
 →ポリウレタンフォーム/ソフトシリコンドレッシング材の貼付を勧める(推奨度B)
[体位変換・ポジショニング]
・関節拘縮を有した高齢者には、どのようなポジショニングを行うとよいか
 →体圧分散用具・クッションを用い、ポジショニングを行ってもよい(推奨度C1)
・重症集中ケアを必要とする、褥瘡を保有する患者にはどのような体位変換が褥瘡予防に有効か
 →基本的に2時間以内の間隔で体位変換を行ってもよい(推奨度C1)

 このほか、エビデンスの蓄積によって推奨度が変更されたものがあります。
 推奨度の変更例としては、推奨度BからAに変更された「周術期に褥瘡発生リスクがある患者への手術台での体圧分散マットレスや用具の使用」などが挙げられます。また、推奨度C1からBへの変更では、「ポケットがある場合の外科的切開やデブリードマンの実施」「ベッド上での体位変換は2時間以内の間隔で行う」「体圧分散マットレス使用時の体位変換は4時間以内の間隔で行う」「ベッド上での30度側臥位、90度側臥位のポジショニングを取る」「病院での褥瘡予防に対する包括的なプログラムやプロトコールの使用」があります。

ポイント2:推奨文の追加・変更

 新たに追加された主な推奨文は、褥瘡発生の危険因子として考慮すべき基礎疾患のCQに対する周術期管理においては、特に糖尿病を考慮することが勧められる」(推奨度B)、寝心地度や快適さのためにどのような体圧分散マットレスを使用するのが有効かに対する「心臓・大血管術後患者には上層分離型二層式エアマットレスを使用するのが勧められる」(推奨度B)などがあります。
 また、看護師だけでなく、管理栄養士にも関連する全身管理における栄養素の補給では、従来の亜鉛、アスコルビン酸、アルギニンに加え、L-カルノシン、n-3系脂肪酸、コラーゲン加水分解物などが追加され、「疾患を考慮したうえで補給してもよい」と推奨文も修正されています。

 近年、各施設において、褥瘡対策チームなどの活動が活発となり、褥瘡発生率の減少に大きく寄与しています。今後もエビデンスに基づいた褥瘡ケアを実践すべく、新しくなったガイドラインの内容を理解しておきましょう。

※ CQ:clinical question

(参考)推奨度分類
A :十分な根拠があり、行うよう強く勧められる
B :根拠があり、行うよう勧められる
C1:根拠は限られているが、行ってもよい
C2:根拠がないので、勧められない
D :無効ないし有害である根拠があるので、行わないよう勧められる

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