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看護あるある手技Q&A 血液検査の検査項目(逸脱酵素編)

仕事に役立つ看護手技 > アセスメント・記録 編

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逸脱酵素の数値を見るときは、どんなポイントを踏まえればいいですか?

個別の数値だけでなく、AST/ALT比や病期に応じた変化などにも注目して、一段上のアセスメントを目指しましょう。

リコ:血液検査の結果を見た患者さんから「このASTやALTって何?」と質問を受けましたが、詳しく説明することができませんでした・・・。

ヨシミ:ASTやALTは代表的な逸脱酵素よね。
これを理解するうえでは、ASTとALTを別々に考えるのではなく、両者の違いを理解したうえで比較するという視点も必要なのよ。

ASTとALTはここが違う!

ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)、ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼ(アラニンアミノ基転移酵素)のことで、それぞれの名前についているアミノ基を2-オキソグルタル酸に転移させる働きをする酵素なの。

これらの酵素は肝臓の中に多く存在し、肝臓において細胞が傷害を受けたり細胞膜の透過性が亢進したりすることで血液中に流れ出る(=逸脱する)ことがあるの。
だから、肝逸脱酵素の量を調べることで、肝機能の具合を知ることができるわけね。

ALTは基準値6~43U/Lで、肝臓以外の臓器にも存在するけれど、主に肝臓に集中しているという特徴があるわ。
一方、ASTは基準値5~37 U/L、肝臓のほかにも心臓や骨格筋、腎臓など、より広範囲の臓器に分布しているの。
したがって、ALTは肝機能障害に対して鋭敏に反応する一方、ASTはそれ以外の疾患や異常でも上昇するケースが多くみられるということになるわ。

表 血液生化学検査(逸脱酵素)の検査項目と基準範囲

検査項目 基準範囲
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST) 5~37U/L
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT) 6~43U/L
γグルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP) 0~75IU/L
乳酸脱水素酵素(LDH) 119~221U/L
アルカリホスファターゼ(ALP) 110~348U/L
アミラーゼ(AMY) 43~124U/L

数値の上昇により考えられる疾患とは?

AST/ALTが異常値だった場合、どのような疾患が示唆されるのかしら?
基本的には、肝細胞が激しく破壊される疾患では酵素の逸脱が多く、慢性疾患や回復期などでは緩やかになるわ。

軽度上昇(~100 U/L程度)

・慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、肝脂肪、閉塞性黄疸、溶血性黄疸、薬物性肝障害

中等度上昇(100~500 U/L程度)

・慢性肝炎、自己免疫性肝炎、(急性)アルコール性肝炎、脂肪肝、薬物性肝障害
・心筋梗塞、筋疾患、溶血性疾患

高度上昇(500 U/L以上)

・急性ウイルス性肝炎、劇症肝炎、薬物性肝障害(特に中毒性)
・ショック、重症心筋梗塞

「数値が低いなら安心」とは言い切れない

肝逸脱酵素の検査値は、「数値が低ければ問題がない」というわけでもないのよ。
例えば、劇症肝炎の終期、腎不全、透析を受けている患者さんの場合、ASTやALTが基準値以下の極低値を示すことがあるわ。
肝逸脱酵素の検査値が示すのはあくまでも「現在の血中濃度」だから、すでに破壊された肝細胞についてわかるわけではないの。
これ以上流出のしようがないほど肝細胞が破壊された後では、検査値は逆に低下するというわけね。

また、病期によってAST/ALT比が変化する傾向も、大まかにつかんでおきましょう。
そもそも臓器の中に含まれる量は、ALTよりもASTのほうが圧倒的に多いのよ。
だから、健常時や細胞傷害の早期においては、その存在比によってAST>ALTとなるわけ。
その後、細胞傷害が激しくなるにつれて、ASTの割合がさらに増えていくの。
ところが、半減期はALTのほうが長いことから、持続的な傷害においてはAST<ALTに傾いていくわ。

なお、ASTやALTの検査値は変化しやすく、急激な運動、飲酒、疲労度、性差などにも影響を受けることが知られているの。
ASTやALTは重要な検査値だけれど、それだけで疾患を特定できるわけではなく、主に肝臓の状態を示唆する補助的なものだととらえるようにしてね。


基本的に、何か1つの検査値を見るだけで、たちどころに体内の様子が明らかになるとは考えないほうがいいわけですね。

ただし、いくつかの検査値を組み合わせて検討すれば判断の精度が高まることもあるわ。
検査値というものは、限界があることを踏まえつつ参考にすべきものだといえるわね。

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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