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致死的薬剤のリスクマネジメント

仕事に役立つ看護手技 > 与薬・薬剤 編

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取り扱いを誤ると患者さんを死に至らしめるかもしれない薬剤には、どんなものがありますか?

看護師による高濃度カリウム製剤やリドカインの誤った取り扱いで、患者さんが死亡する医療事故も起こっているのよ。

リコ:日常的に使用する薬剤の中にも、間違った取り扱いをすると患者さんに重大な悪影響を及ぼすものってありますよね。

ヨシミ:看護師は薬剤の最終投与者となる場面も多く、致死的薬剤の取り扱いをミスして「知らなかった」「うっかり」では済まないわ。
どんな薬剤でどんな事故が起こりうるのか、どんな対策をすれば事故を避けられるのか、考えていきましょう。

特に注意を要する2つの薬剤とは?

日常的に使う機会がありながら、致死的な事故に繋がりかねない薬剤といえば、高濃度カリウム製剤リドカインが挙げられるわね。

高濃度カリウム製剤は低カリウム血症を補正する薬剤だけれど、規定を超えた濃度で投与すると高カリウム血症を招き、急性心不全へ至る恐れがあるの。
看護師が高濃度カリウム製剤を希釈せず原液で投与してしまう事故が度々起こっていて、患者さんが死亡した例もあるのよ。
また、誤って末梢血管を投与経路に選んだため、薬剤が血管外漏出してしまった例もあるの。
そうなると、患者さんの皮膚が壊死して、植皮術が必要になることも考えられるわ。

一方、抗不整脈薬としてのリドカインは、緊急を要する場面でよく使われるわね。
ただし、過剰投与により呼吸停止や心停止を引き起こすおそれがあるため、厳重な取り扱いが必要よ。
過去には、点滴用(濃度10%)と静注用(濃度2%)を取り違えて投与してしまい、患者さんが死亡した例が報告されているの。
メーカーがパッケージの変更など対策を取っても事故が減らなかったため、2005年には点滴用リドカイン10%が原則的に販売中止となったという経緯もあるのよ。

ミスが起こりにくいシステム作り

こうした重大事故を防ぐため、看護師にできるのはどんなことかしら?

まずは当然のことながら、致死的薬剤に関する正確な知識を身につけることよ。
投与濃度、投与速度、投与経路、禁忌事項など、致死的薬剤の取り扱いについてはマニュアルを作って統一している施設が多いと思うわ。
でも、特に緊急を要する事態になってからは、マニュアルを見る時間的余裕なんてないでしょう?
事前に頭に入れておくことが大切よ。

また、組織としての取り組みも大事で、ヒューマンエラーの起こりにくいシステム作りはリスクマネジメントの基本なのよ。
人間であれば、どんなに知識があって注意を払っていても、とっさのことでミスを犯す可能性はゼロにはならないもの。
まさにTo err is human(人は誰でも間違える)ね。

例えば、取り扱う薬剤の種類が多ければ、それに応じて取り違えのリスクが高まるのは当然のことよね。
だから、各部署で十分に話し合ったうえで、取り扱う薬剤を必要最低限に絞り込むべきなの。
高濃度カリウム製剤を規格違いで2種類用意していたところ、1種類のみに変更するといったことね。
また、プレフィルドシリンジ型カリウム製剤のように、ヒューマンエラーを物理的に防いでくれるような製品を導入するのもアリね。

また、緊急カート内の薬品類の配置も重要よ。
緊急カートを使用するような場面では、どうしても焦ってしまうことが多いはず。
特に、似ているパッケージの薬剤が並んでいると、取り違えのミスが起こりやすいわ。
似たパッケージのものを隣接させないようにしたり、濃度が異なるものは分かりやすいよう目立つ印をつけて区別したりといった工夫が生きてくるはずよ。


看護師一人ひとりが正確な知識を持っておくことはもちろん、組織としてのリスクマネジメントも大切なんですね。

そうね。
もし、組織のシステムにおかしなところがあれば、それを改善するよう提案することも、看護師の役割の1つだと思うわ。

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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