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看護あるある手技Q&A 胃瘻からの与薬(簡易懸濁法)

仕事に役立つ看護手技 > 与薬・薬剤 編

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胃瘻を造設している患者さんに対して、胃瘻チューブから薬剤を投与する場合、どのような与薬方法が適しているのでしょうか?

すべての薬剤に適用できるわけじゃないけれど、さまざまなメリットがある簡易懸濁法が推奨されることが多いのよ。

リコ:胃瘻の患者さんに与薬するときは、錠剤をつぶしたりカプセル剤を開けたりして、一包化したものを用いればいいですか?

ヨシミ:その方法は、いくつかのリスクが指摘されているので、控えることもあるの。より安全かつ効果的に錠剤やカプセル剤を投与できる簡易懸濁法のほうが、今は一般的だと思うわ。どのような方法なのか知っておきましょう。

簡易懸濁法のメリットは?

「錠剤を細かくつぶして粉状にしたり、カプセルを開けたりして(脱カプセル)一包化したものを、水に溶かしてからシリンジに吸い上げ、カテーテルから注入する」やり方(粉砕法)は、従来は胃瘻のある患者さんに対して一般的に行われていた与薬の方法だったの。ところが、いくつかの問題点が指摘されるようになったのよ。

まず、薬剤の種類によっては、粉砕法では効果が減弱したり、逆に効果が増強したりすることがあるの。つまり、粉砕法では薬剤本来の安定性が保たれなくなることもあるわけ。また、つぶす過程で飛散したり、つぶしたものが包装に付着して残ってしまったりして、全量が投与できないことも少なくないのよ。

そこで編み出されたのが「簡易懸濁法」。一言で説明するなら、「投与直前に薬剤をお湯で懸濁してから注入する」やり方ね。「懸濁」(けんだく)というのは、薬剤の粒子が液体中に分散することを意味する言葉よ。錠剤をつぶしたりカプセル剤を開けたりすることなく、そのままお湯に投入すればOKという、簡便な方法なの。

簡易懸濁法は従来の粉砕法に比べて、薬剤の安定性を保ちやすいメリットがあるわ。また、

  • 投与量のロスが少ない
  • 投与できる薬剤が幅広い
  • 投与する薬剤の確認がしやすい(投与直前まで錠やカプセルのままだから)
  • カテーテルが詰まりにくい
  • 投与の中止・変更時の対応が簡単(これも、投与直前まで錠やカプセルのままだから)

というのもありがたいわよね。

簡易懸濁法のポイントは?

それじゃあ、簡易懸濁法の具体的なやり方を見ていきましょう。
まずは、錠剤やカプセル剤を水剤ビンなどに入れ、55℃のお湯(20mL以上)を加え、10分ほど放置するの。55℃のお温を作るには、ポットのお湯と水道水を「2:1」の割合で混ぜたり、60℃に設定された電気ポットのお湯を少し冷ましてから使ったりするといいわ。温度が低すぎるとカプセルなどが溶けないし、高すぎると薬剤の成分が変性してしまうことがあるから、55℃という温度設定は大切なのよ。

10分放置したら、容器をよく振って撹拌してみて。すると、多くの薬剤は自然に懸濁されているはずよ(撹拌してから10分放置するのでもOK)。お湯に入れて崩壊しない錠剤(コーティング剤など)は、まとめて一包化しておいて、直前に分包フィルムの上から乳棒で砕いてから懸濁するといいわ。懸濁したことを確認できたら、すぐに(時間を空けないで)シリンジで懸濁液を吸い上げ、投与するのよ。

簡易懸濁法にはメリットが多いけれど、残念ながらすべての薬剤に適用できるわけではないの。例えば、徐放錠を懸濁させて投与すると、体内の薬物濃度が急激に上昇して副作用のリスクが高まってしまうわ。本来は、体内で有効成分が徐々に溶け出すように設計された薬剤だから、当然といえば当然よね。また、腸溶性の薬剤のコーティングを壊して胃瘻から投与すると、胃酸のために薬効が失われてしまうわ。

分からないことがあれば、医師はもちろんのこと、薬の専門家である薬剤師に相談してね。薬剤の情報をきちんと把握したうえで、ベストの方法を選択することが大切よ。


どのような与薬方法でも体に入ってしまえば薬効は同じ・・・というわけじゃないんですね。

そうなのよ。簡易懸濁法は、経口で薬剤を飲み込むに近い状態を疑似的に作っているともいえそうね。理に適った方法だと思うわ。

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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