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経腸栄養法(胃瘻)で下痢を予防するポイント

仕事に役立つ看護手技 > 与薬・薬剤 編

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胃瘻の患者さんが下痢になってしまいました。
このまま栄養剤を注入し続けても大丈夫でしょうか?

胃瘻の合併症として最も多いのは下痢よ。
栄養剤の取り扱いや投与方法に注意して、下痢の予防に努めましょう!

リコ:胃瘻を造設している患者さんを担当しているのですが、ここ数日、下痢の状態が続いていて・・・。
殿部のただれもあるので、早く何とかしてあげたいです。
主治医に指示された投与量を守っていたのに、何がいけなかったんでしょうか?

ヨシミ:栄養剤の温度や粘度、注入するスピードなどが原因で、下痢の症状を起こしてしまう患者さんは少なくないわ。
予防のポイントを見ていきましょう。

栄養剤の取り扱いのポイント

そもそも、下痢の定義は理解できているかしら? 臨床的には、無形・水様性の便の排泄が1日に8回程度あり、その水分量が1,000mL以上になる状態のことを指すと考えていいわ。
このような下痢を胃瘻の患者さんが起こしてしまったら、確認すべきことはいくつもあるのよ。

まずは基本的なことだけれど、栄養剤の取り扱いが正しいかどうかね。
栄養剤は注入前に冷蔵庫から出すなどして、常温に戻しておくこと。
冷たい物をお腹に入れたら下痢になりやすいのは、健康な人でも同じことよね。
ただし、栄養剤そのものを温めたり、お湯などの水分を混ぜたりするのは、細菌の繁殖につながるからやめましょう。

栄養剤は使用直前に準備することが必要で、作り置きするのは厳禁
開封後の栄養剤を常温放置すると、特に12時間以降は急激に細菌数が増加するという研究結果も出ているわ。
また、投与に用いる容器の洗浄を丁寧に行うことも欠かせないわ。
容器の内側だけを洗浄するよりも、容器全体を消毒液に浸すほうがより安全性が高いのよ。

栄養剤の投与速度には最大限の注意を!

次に、栄養剤を注入するスピードを考えてみましょう。
一般的には、投与速度が100mL/時を超えると下痢をしやすいと考えられているわ。
特に、2週間以上の絶食状態では腸粘膜の萎縮が起こり、消化・吸収能力がかなり低下しているの。
一度に多量の栄養剤を注入しても体が受け付けず、下痢になってしまいがちよ。
そこで、25~50 mL/時程度から投与を開始し、10~20mL/時ずつスピードを上げていって、1週間ほどかけて100~150 mL/時まで至るというように、段階を踏んだ方法が推奨されているの。
「投与速度が速すぎるかも?」と感じたら、億劫がらず主治医に相談する姿勢も必要よ。

また、栄養剤の粘度にも注意が必要ね。
サラサラとした流動性の高い栄養剤は、腸管内を素早く通過してしまうから、下痢を引き起こしやすいの。
そこで、増粘剤(寒天、ゼラチン、ペクチンなど)を使って栄養剤を半固形化することで、消化管内に移行するスピードを調整することも考えられるわ。
より固形に近い物が胃に入ることで蠕動運動が始まり、生理的な消化機能が促進されるのよ。
増粘剤と栄養剤を混ぜて注入するほか、あらかじめ半固形化されたパック詰めの栄養剤もあるわ。

そのほか、患者さんの消化吸収能力に問題がなければ、食物繊維粉末を使う方法も考えられるわね。
不溶性の食物繊維を摂取することで、適度な固さの便塊を増やす効果があるの。
その結果として、下痢を抑えられる可能性があるのよ。
あらかじめ食物繊維を含んだ栄養剤も販売されているわ。
食物繊維の過剰摂取にならないよう、必ず表示を確認してね。

ちなみに、従来は栄養剤の浸透圧が下痢の原因ということも少なくなかったのよ。
ただ、最近では腸管浸透圧に近付けた製品が多いから、この原因による下痢は減少しているといわれているわ。

胃瘻の患者さんは下痢になりやすいだけでなく、そこから回復するのに時間がかかることも多く、全身状態の悪化にもつながりかねないの。
下痢になった患者さんに適切なケアをすることも大切だけれど、何より下痢にならないよう予防的なケアを心がけたいものね。


下痢という症状一つ取っても、予防のために考えられる対策はいろいろあるんですね!

胃瘻から摂取する栄養剤も、患者さんにとっては大切な“食事”なの。
人生の大切な営みとして、しっかりと支えていきたいわね。

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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