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インタビュー 私の転機(後編) 看護師教育の未来

最新ナースコラム > 現場インタビュー「私の転機」

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看護師の教育は“現場”を伝えて
幅広い視点をもつ人材の育成が課題

現在、国際医療福祉大学講師を勤める高野文恵さんは、長年臨床の場で活躍し、看護師の研修や教育にも携わってきました。そんななかで、臨床を離れ、大学の講師となったきっかけは何だったのでしょうか。変革期にある看護基礎教育の課題についても伺います。

国際医療福祉大学
小田原保健医療学部 看護学科 成人看護学領域
講師 高野文恵さん

海外留学を目指す看護師の支援や
院内外の教育にも注力

―緩和ケアと並行して、看護師の留学支援や教育などにも携わってきたと伺いました。

川崎市立井田病院在籍中には、「CD CLUB留学を志すナース・学生の会」に入会し、ツアー会社と看護師のための留学ツアーを検討して交渉などにも携わりました。興味があるものに力を注ぐことは、自分自身や生き方を変えるきっかけになると思いますので、その支援ができればと考えていました。また、院内の新人看護師教育や川崎市内新人看護師研修、日本看護協会の緩和ケア認定看護師実習教育なども担当しました。
私自身も学びを深めるために97年に神奈川県立看護教育大学校の老年看護課程を修了し、2001年には同大学校の看護教員養成課程も修了しました。在学中の給与も学費もすべて病院に支給していただきました。病院からの推薦で進学することになりましたが、いろいろな人との出会いもあり、よい経験になったと思います。
看護の現場に長くいましたので、一度外から組織をみてみたいと思っていました。そこで川崎市を退職した後は、1年ほどフリーの立場で、総合病院や介護施設、レストランチェーンなどの教育業務の立ち上げを経験しました。次に入職したのはこのときに関わっていた病院で、当時の看護部長から常勤として教育を担当してほしいと依頼されたことがきっかけでした。

―近年、看護師教育にはどんな課題があるのでしょうか。

看護師それぞれに合った教育を行えていないことではないでしょうか。私が入職した病院では、教育ラダーや研修などの教育体系づくりを行い、採用にも携わってきましたが、看護師になるために受けてきた教育、入職後に受けた教育に大きな差があると感じていました。看護師は高校卒業後に看護学校や大学で看護を学ぶ人だけでなく、社会人経験を経て学校に入り直す人、親の勧めや国家資格を持つことの優位性から看護師を目指す人など、多様化しています。従来の教育や管理の方法では限界があると感じていました。
例えば、社会人経験がある人は、新卒の看護師に比べてマナーや接遇などができるので、問題がないと思われがちです。多くの新人看護師をみる立場になると、どうしても新卒の看護師に目を配らざるを得なくなります。すると “しっかりしている人”はあまりケアされず、アクシデントやヒヤリハットを起こしてしまうことがあります。その他にも、周囲を振り回してしまったり、同じミスを何度も繰り返したりする看護師に対してどう接するべきかを知りたかったですし、どんな学びを受けてきたのかにも関心がありました。

人との出会いが看護師の基礎を築く
広い視点で学べる環境を

―大学の教員になったのは、何がきっかけだったのでしょうか?

大学にいたときから教員になることは考えていました。今の看護師がどんな教育を受けているのか、どんな人たちが看護師を目指しているのか。未来の看護を担う人たちの基礎教育の現場に入ることで、理解できることも多いのではないかと考えたのです。
いざ大学の教員になって感じたのは、教員が不足しているということです。これは近年看護大学が急激に増加した弊害とも言えると思います。実践が重視される看護師の教育を充実させるためには、教員数だけでなく、教員の質を担保することも非常に重要だと感じました。学生は、臨床の話をすると目を輝かせて聞いてくれます。大学のあり方を変えて“現場”を伝えていかなければいけないと思いますし、もっと言えば、人口が減少するなかで日本の医療を何とかしたいと考えている人たちに、看護教育の現場に入ってもらう必要があるのではないかと考えています。大学を看護だけでなく、ものの見方や考え方、経済的な視点まで幅広く柔軟な発想をもって学ぶ場にしていかなければ、未来の医療、看護は立ち行かなくなってしまうのではないでしょうか。

―看護師の教育や育成において、今感じていることを教えてください。

私は医師会立の看護学校の准看護学科から公立の看護学校、大学、大学院と、様々な教育の場で学んできました。やはりそれぞれに“カラー”がありますし、それは病院にも言えることです。
卒業して得られる資格は同じ「看護師」ですが、どんな教育を受けてきたかは非常に重要で、叱られて教わった人とのびのびと育てられた人では、その違いは大きいと思います。
例えば叱られて育った人は、叱ることが大事だと思っているからか、自分が指導する立場になったとき、ことあるごとに叱り、ミスしか指摘できないような人になってしまいます。ですから、看護師がどんな教育を受けるか、どんな人に出会うかが看護師としての基礎をつくるうえでとても大事だと感じています。

国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科成人看護学領域
講師 高野文恵さん
高校卒業後、横浜市医師会看護専門学校で准看護師資格を取得。1987年、川崎市立高等看護学院卒業後、済生会神奈川県病院に入職。89年川崎市立井田病院に入職し、個室病棟に配属。96年神奈川県立看護教育大学校老年看護課程、翌97年修了。2000年神奈川県立看護教育大学校看護教育学科に入学し、翌01年修了。2007年株式会社TFTパワーコムの専務取締役に就任し、医療スタッフ教育などに携わる。2008年、社会福祉法人湘南福祉協会総合病院湘南病院に入職。2012年、東京医療保健大学大学院医療保健学研究科修士課程修了。2017年に国際医療福祉大学小田原保健医療学部講師に就任。

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