リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

もし医療事故を起こしてしまったら…看護師向けの賠償責任保険とは?

最新ナースコラム > 医療の最新ニュース

医療の高度化、複雑化、また看護師の業務拡大によって医療事故のリスクが高まっています。
医療事故においては、病院だけでなく看護師個人に賠償責任が生じるケースもあります。
そこで日本看護協会をはじめ、各保険会社では看護職賠償責任保険制度を設けています。

行為の主な最終実施者となる看護師

医療事故の防止は、チームや組織全体で安全文化を醸成し、事故が起こらない仕組みを作り、それを継続することが重要です。
現在は、組織的な取り組みを行うことが医療法で定められており、2015年10月からは医療事故調査制度も開始しました。

近年では、医療の安全性を高めるために、ひとつの行為に対して複数の医療スタッフがかかわっています。
例えば薬剤を病棟で投与する場合、医師の指示を受けて薬剤師がチェックをして病棟に薬剤が届けられます。
さらに病棟で準備する看護師とチェックする看護師、実際に投与する看護師と、多くの目が入ります。
もしもエラーがあった場合でも、このどこかのプロセスで発見されれば、患者さんに被害が及ぶことはありません。
このいずれのプロセスでも発見されなければ、エラーを起こす可能性のあるシステムに問題があったといえます。

しかし、薬剤の誤投与の例のように、看護師はその行為の最終実施者となることが多いものです。
事故が起きた場合には病院だけでなく、最終実施者の看護師個人が訴えられるケースもあります。

保助看法の規定で実施した業務が対象

こうした看護師の業務のなかで起きた医療事故で、損害賠償責任が発生することがあります。
看護師個人が訴訟を起こされた場合だけでなく、病棟で患者さんの私物をうっかり壊してしまった場合、会話のなかで患者さんが名誉を傷つけられたと感じた場合などです。

そのための備えとして日本看護協会をはじめ、民間の保険会社では看護師向けの賠償責任保険を提供しています。

日本看護協会では2001年11月、協会員を対象に、「日本看護協会看護職賠償責任保険制度」を創設。
2016年度契約で17ヵ月3,700円の掛金で保助看法の規定に基づいた保健師、助産師、看護師、准看護師の業務について損害賠償責任を補償しています。
制度の賠償内容は以下の通りです。

〈日本看護協会看護職賠償責任保険制度の賠償内容〉

・対人賠償
誤った薬剤を投与して患者さんに障害を負わせた場合など
→1事故5000万円限度(保険期間中1億5000万円まで)
・人格権障害
患者さんとの会話で名誉を傷つけられたと訴えられた場合など
→1事故50万円限度(保険期間中100万円まで)
・対物賠償
病棟で患者さんの私物をうっかり壊してしまった場合など
→1事故50万円限度
・初期対応費用
事故発生時に被保険者が負担する社会通念上妥当と認められる初期対応費用など
→1事故250万円限度(うち見舞品購入費用1被害者につき10万円限度)

看護師自身に及ぶリスクも補償

また、看護師の業務は、対患者さんや対物における損害賠償のリスクだけでなく、看護師自身も傷害事故に遭う可能性もあります。
例えば、針刺し事故によってHBV、HCV、HIVに感染する可能性などがあります。
看護師損害賠償責任保険制度では、看護師自身が血液曝露によってこうした感染症にかかり、B型肝炎などを発症、治療した場合には傷害保険金を受け取ることができます
また、就業中の偶発的な事故による死亡や後遺症が残った場合も補償されます。

このほか、日本看護協会の看護職賠償責任保険制度では、相談対応や賠償請求の内容の妥当性を公平な立場でチェックする事故審査委員会を設置しています。
民間の保険会社の看護師向け賠償責任保険制度でも、同様に看護師が安心して業務を実施できるようなサポート体制を整えています。
保険金の支払い対象がより細かく定められていたり、支払限度額が異なっていたりと、それぞれに特徴があります。

医療行為における個人の賠償責任は医師が対象となることがほとんどでした。
しかし、看護師が実施する業務が高度・複雑化するなかで、今後は看護師個人の責任が問われるケースも増加が予測されます
すべての看護師がその当事者になる可能性を考え、もしものときに備えましょう。

参考
日本看護協会看護職賠償責任保険制度

TOPへ