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看護あるある手技Q&A グリセリン浣腸

仕事に役立つ看護手技 > 疾患・部位別の看護 編

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グリセリン浣腸を安全かつ手際良く行うコツはありますか?

患者さんの同意と協力を得たうえで、正しい体位で、リラックスした状態で実施しましょう。チューブによる直腸粘膜損傷、直腸穿孔には最大限に注意して。

リコ:浣腸というと「痛い」「恥ずかしい」と嫌がる患者さんも多いですよね。
どうしたらサッと手際良く済ませることができるでしょうか?

ヨシミ:手際良くというのは大切だけれど、安全性をないがしろにしてはいけないわ。
浣腸をスムーズに実施するためには、患者さんの協力を得ることが欠かせないのよ。
今回は、より安全で苦痛の少ないグリセリン浣腸を実践するポイントを紹介するわ。

事前準備は「温度」と「体位」がポイント

グリセリン浣腸液を肛門から直接投与することで排便を促すグリセリン浣腸は、手術や検査の前処置としてはもちろん、経口緩下剤の投与が困難な場合や効果が得られない場合などにも用いられるわね。
浣腸は患者さんにとって苦痛や羞恥を伴う処置だからこそ、実施の際は必ず事前に患者さんに必要性を説明のうえ、同意を得ることが大切よ。

準備段階で気をつけてほしいのが、グリセリン浣腸液の温度ね。
お湯に入れて40~42℃程度に温めるのが望ましいとされているわ。
40℃より低いと毛細血管が収縮して血圧上昇や悪寒を引き起こすおそれがあるし、43℃以上だと温度が高すぎて腸粘膜を損傷してしまうことがあるの。

浣腸器のチューブ先端(10cmほど)には、ワセリンやカインゼロゼリー、オリーブオイルといった潤滑剤を塗布してね。
このとき、リドカインゼリーを使用するのは避けたほうがいいわ。
そもそも局所麻酔薬であるリドカインは、リドカインショックなど重篤な副作用を引き起こすこともあるのよ。

患者さんには、事前に排尿を促しておきましょう。
膀胱を空にすることで、腹圧を下げることができるわ。
そして、下着を下げてから、シムス位または左側臥位になってもらうの。
直腸からS状結腸、下行結腸にかけては身体の左側に位置しているから、シムス位や左側臥位のほうが浣腸液をうまく到達させられるというわけね。

患者さんの呼吸に合わせてスムーズな挿入を

浣腸器のチューブをスムーズに挿入するためには、患者さんの協力を得ることが大切よ。
ポイントは、腹部や肛門の筋肉の緊張をとるため、口を開けてもらって頸部の筋肉を弛緩させること。
「口を開いてゆっくりと呼吸してくださいね」などと声をかけて口呼吸を促し、患者さんが息を吐き出すのに合わせてチューブを挿入しましょう。

チューブは臍の方向へ挿入し、その後は腸管の形に合わせて脊椎に沿うよう進めていくのよ。
チューブを挿入する長さは、成人であれば5cm前後が目安
患者さんが痛みを訴えたり、チューブに抵抗があったりする場合は、無理に挿入しないよう気をつけて。

挿入できたら、手でしっかりと固定しながら浣腸液を注入していくの。
注入速度は50mL/15秒が目安とされていて、これより速すぎると排便反射が起こってしまうし、遅すぎると患者さんが我慢できずに薬液を排出してしまうことがあるわ。
浣腸液を注入できたら、トイレットペーパーなどで肛門を押さえてから、ゆっくりとチューブを引き抜きましょう。
このとき、チューブに血液が付着していないか必ず確認してね。

浣腸液により便の軟化といった効果が現れるまでには3分程度かかるわ。
すぐに排便すると浣腸液だけが出てきてしまうから、できれば3分以上我慢してから排便するよう患者さんに説明しましょう。
トイレで排泄する場合、慌てて移動しようとして転倒するケースもあるから、あらかじめベッドを低くしておくなど工夫できるといいわね。

ただし、「トイレに間に合わないから」などと、立ったまま浣腸を実施するのはNGよ!
立ったままでは患者さんの腹圧がかかりがちなうえ、肛門部が見えづらいからチューブの挿入が難しいわ。
直腸の形態が変化することもあり、チューブによって直腸穿孔を起こしたという事故も報告されているのよ。


事前のアセスメントはもちろん、処置中には患者さんの様子をしっかりと観察することが大切ですね。

チューブで腸粘膜を傷つけてしまうと、そこからグリセリンが吸収されて溶血や腎障害を引き起こすおそれもあるから、リスクが伴う処置であることを意識しなきゃね。

参考文献
日本看護技術学会技術研究成果検討委員会グリセリン浣腸班:グリセリン浣腸Q&A(ガイドライン案)2015年版.

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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