リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

ナースフル特別インタビュー 女優 比嘉愛未さん

最新ナースコラム > 特別インタビュー 比嘉愛未さん

自分に厳しく、初心を忘れずに進んでいきたい

2008年に1stシーズンが放映され、今回が3rdシーズンとなるドラマ『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~』(フジテレビ系全国ネットで毎週月曜21時より放映)。登場する医師、看護師たちの成長やドクターヘリの医療現場をリアルに描いていることで高い人気を誇っています。
このドラマで一躍注目を浴びた『フライトナース・冴島はるか』役を演じている比嘉愛未さんにインタビューしました。

フライトナース役を演じることで「ドクターヘリ」の可能性を実感

──9年前、このドラマへのオファーが来たとき、『フライトナース』という職業はご存じでしたか。

比嘉: 1stシーズンが始まった当時(2008年)は、ドクターヘリが導入されはじめたばかりということもあり、どのように演じれば良いのか全く想像がつきませんでした。そんな手探り状態の中でも、「ドクターヘリを広めていく」という使命感は「コード・ブルー」チームの皆が持っていたと思います。
 特に、私はベテランナースという役柄ですので、「フライトナースになるための経緯」や「どれだけの技術が必要か」「フライトナースになるための試験」などはすごく調べました。当時は二十代前半でしたし、実年齢より上のフライトナース役を演じるには、「フライトナースがいかに大変か」を実感として身に付けておかないと、説得力が出せないと思ったんです。
 ヘリの中にフライトナースは一人しかいません。医師と対等に渡りあうための知識や責任感、そして気持ちの強さがないと出来ない仕事です。実際にフライトナースの方にお話を聞いたり、ドクターヘリの本を読み勉強することで、その「強い」気持ちを作っていきました。
 出演者のなかでは、私が一番多くドクターヘリに乗っていますけれど、ヘリの中は皆さんが思っているより揺れや振動も少ないと思います。操縦士さんや整備士さん、CS(運行管理)の方もプロとしてドクターヘリが飛べるかどうかを判断されますから、処置ができる状態でないと、そもそもヘリは出ないんですね。ドクターヘリがもっと広まればより多くの人を救えるのでは、と可能性を実感しています。

患者さんや周囲への「目線」を意識

──リアルな医療シーンが話題ですが、かなり練習を積まれましたか。

比嘉: 撮影はとても時間をかけて丁寧に撮っています。たった5分のシーンに5時間かけたこともありますから、本当に体力勝負ですね。
 医師に器具を出すタイミング、角度などにもすごく気を使っていますが、私が一番意識しているのは“目線”です。最初の頃は医師役の眼を見て演じていたのですが、最近は周囲の状況を見て、一歩先の動きができるようにと考えています。言われて動くのではなく、次に何が必要かを考えて用意しておくということですね。看護師は全体をみて行動しなくてはならないし、そして冴島という役は患者さんの容態や現状について話すシーンは少ないからこそ、目線の動きを大切にしたいと思います。
 看護指導の先生は良いところも悪いところも指摘してくださる方で、その方から動きが早い、覚えが早いと褒めていただいたときは、とても嬉しくて自信を持ちましたね。そして友人の看護師から「本当にリアルだね、忠実に再現してくれて嬉しい」と言われたときは思いが伝わったように感じました。
 医療ドラマに需要があるのは、誰にでも身近なことだからと思うんです。生まれて亡くなるまで医療に関わらない方はいない。だからこそ、ドラマでフィクションであっても、ひとつひとつの場面、その瞬間は本物でありたいと思っています。

自分に厳しくありたい

──冴島はるかとご自身に共通点はありますか。

比嘉: 以前は似ていないと思っていましたが、最近は役柄と自分が近づいてきたような気がします。冴島は自分に対して負けず嫌い。繊細だけどそれを他人に見せたくない意地っ張りなところがあります。私は親に反対されて上京し、役者として一人前になりたいと思ってきましたが、冴島は医師一家のなかで唯一医師になれず挫折したことから、「看護師のトップになりたい」と思っています。私も、冴島にも、同じように反骨精神があるんです。
 そして冴島は反骨精神だけではなく、本当にこの仕事が好きになり「患者さんを助けたい」と強く思うからこそ、できない人に厳しい。でもこれは理不尽な厳しさではなく、彼女なりの正義感があるからなんです。私自身も、まだまだ完全な人にはなれませんが、諦めたくないから努力する。楽をしようとか、途中で匙を投げる人にはなりたくないので、そんなところは冴島と一緒だなと感じていますね。

──登場人物もみんな成長しましたし、冴島にも後輩ができましたね。

比嘉: 前回から7年がたっていますが、フェローだった4人の医師達との間に、ドラマでは描かれていない7年間があったと想像しています。彼らが彼女を救い、支えてきたからこそ、恋人の死別を乗り越えて、人間的なやさしさや、柔らかさがでてきたように思います。
 また今回、冴島にははじめての後輩や新たなフェローができましたが、実際にドラマの現場でも今回のシーズンから参加された役者さんがたくさんいます。中堅の立場になったからこそ、新人がすごく悩み緊張する気持ちも、1stシーズンの当時、先輩が場を和ませてくれた気持ちも、わかるようになりました。多くを語るわけではないけれど、不安なときには寄り添ってあげたい。そんな冴島のような思いを私も体験しています。役柄を身近に感じるようになったのは、こんな実体験があったからかもしれないですね。

初心を忘れずに、人に寄り添いたい気持ちを忘れずに

──フライトナースをはじめとする看護師や看護師を目指している方に向けてメッセージをお願いします。

比嘉: 実は私、小さなころは看護師、助産師になりたいと思っていたので、疑似体験ではありますが、この役を演じられてとても光栄に思っています。そして多くの方から、このドラマを見て看護師の道を志し、夢を叶えたという声をいただき嬉しく思っています。実際に私の友人も『コード・ブルー』を見て社会人になってから看護師を志し、看護師になりました。私の演技が他の方の人生に大きな影響を与えられたというだけなく、医師や看護師が増えれば、医療に関わる人が増えれば、助かる命が増えるかもしれないと感じています。
 看護師という仕事は本当に過酷で大変だと思います。救いたくても救えない命もあるし、思いや努力が報われないこともあるかもしれません。でも、患者さんを助けたい、患者さんに寄り添いたい、という目線を忘れないでください。技術は努力でカバーできるかもしれませんが、その目線や気持ちはご自分の心のあり方一つだと思います。あなたがなりたかった看護師になれるよう、願っています。

比嘉愛未(ひが・まなみ)

1986年、沖縄県生まれ。2007年NHK朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」でデビュー。以来CMやドラマ、映画などで幅広い活躍をしている。2017年10月28日公開の映画「先生!」に出演。

~編集後記~

取材日は2017年8月某日。ドラマの最終回に向け、撮影が佳境に入る中でも、しっかりと時間を取り、真摯にインタビューに応えてくださった、比嘉愛未さん。役への取り組み方や、フライトナースへの想いに取材担当者も心を打たれました。また、撮影セットも拝見させていただき、本物の病院さながらに作りこまれたスタジオは圧巻の一言。小道具のひとつひとつにもスタッフ皆さんのこだわりが満載でした!

TOPへ