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看護師として知っておきたい熱中症対策

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気温が高くなると熱中症による救急搬送が増加することが知られていますが、暑くなり始めた時期や急に暑くなったときにも起こりやすいことがわかっています。家庭での熱中症予防に、看護師のアドバイスは大きな影響力を持ちます。看護師として押さえておきたい熱中症対策について紹介します。

高齢者に多い非労作性熱中症

熱中症は、気温や湿度が高いことによって体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能が働かなくなって体温が上昇することによって起こります。気温が25℃を超えると熱中症の人が増えるといわれますが、25℃以下でも湿度が80%以上あるときには注意が必要で、真夏日や熱帯夜が多い年は熱中症で亡くなる人も増えます。

〈体内の熱を逃がす4つの要素〉

(1)外部の環境:
 気温、湿度、輻射熱、風力、衣服、年齢、持病、仕事強度、水分補給など
(2)血液量:
 熱を運ぶ血液量
(3)心機能:
 熱を運ぶ血液の流れをつくる心臓の収縮力
(4)筋肉運動:
 体内の熱をつくる筋肉の運動量

高齢になると、これらの機能が低下するため、熱中症は患者さんの半数が65歳以上といわれています。高齢者に多い暑熱環境のなかで生じる熱中症は、非労作性あるいは古典的熱中症といいます。
高齢者は、体内の熱を逃がして体温を調節する機能が低下していることに加え、体内の水分量が低下すること、さらに冷房器具を使用したがらない人が多いことも一因といわれています。

熱中症は日中、屋外だけでなく、夜間でも室内でも起こります。独居の場合は体調の変化に気づかないまま脱水が進行するケースがあり、高血圧や心不全の持病で利尿剤を使っている場合や糖尿病で多尿の人も脱水を起こしやすくなります。

予防には経口補水液での水分補給を

スポーツや肉体労働などによって生じる労作性熱中症は、屋外での発症頻度が高く、重症例は少ないものの、高温多湿の環境や飲水機会が少ないことで重症化しやすく、肉体労働者では、初日に死亡事故が多いことがわかっています。

日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2015」では、熱中症の予防には、塩分と水分の両者を適切に含んだもの(0.1~0.2%の食塩水)の摂取が推奨されています。市販の経口補水液が適切で、飲水量は高齢者を含む学童から成人が500~1,000mL/日、幼児が300~600mL/日、乳児が体重1kgあたり30~50mL/日となっています。スポーツドリンクでも水分や電解質の補給はできますが、この場合は塩分量が少なく糖分が多いことをふまえておくことが重要です。またガイドラインでは、「梅昆布茶や味噌汁などもミネラルや塩分が豊富で熱中症予防に有効と考えられる」としています。

めまいや失神、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛や嘔吐など、熱中症が疑われる症状があった場合にはまず意識を確認し、意識がない、呼びかけに対する返事に異常がある場合には救急搬送を要請します。救急隊が到着するまでの間、また意識がある場合は涼しい場所に移動して脱衣と冷却を行います。意識があって自分で水分を摂取できる場合には自力で水分補給をしてもらい、安静を保ちます。
意識がない場合には、誤嚥のリスクが高いため、水分を無理にとらせないようにし、自力で水分摂取ができない場合は医療機関に搬送します。また、水分や塩分が自力で摂取できた場合でも、症状が改善しない場合には医療機関への搬送を行います。

早期に深部温度を下げることが重要

熱中症は早期に深部体温を下げることが重要で、積極的な冷却処置により、できるだけ早く38℃台までもっていくことが重要といわれています。高体温の状態が長く続くほど予後は不良となり、後遺症として知られる中枢神経障害も、深部温度が高く、高度の意識障害や血圧低下などの循環障害がみられた場合に起こりやすいことがわかっています。

冷却の方法はいくつかありますが、労作性熱中症の場合は、ショック状態などの生命を脅かす合併症がない限り、水槽に浸漬させる、大量の水を噴霧するなどして冷却を行います。しかし、過度な冷却は低体温症を引き起こしかねないため、深部体温の慎重なモニタリングが必要となります。また、ガイドラインでは血管内冷却カテーテルによる深部冷却やゲルパッド法やラップ法などの水冷式体表冷却などの新たな冷却法も取り上げられていますが、現時点では十分な検討がなされていません。

重症熱中症に至ると、中枢神経、肝臓、腎臓、循環器などの多臓器に障害が及びます。しかし現在のところ確立した治療法はなく、対症療法となっていることから、重症化を防ぐうえでも、熱中症は予防と早期発見、早期の冷却による深部体温の低下が重要となることをおさえておきましょう。

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参考
日本救急医学会:熱中症診療ガイドライン2015

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