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事例で学ぶ看護技術 短時間でも要注意!湯たんぽ使用時の熱傷

仕事に役立つ看護手技 > 生活介助・ケア 編

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湯たんぽ使用時に、患者さんが熱傷を負ってしまう事例が少なくないそうです。
湯たんぽで温罨法を実施するときは、湯たんぽを患者さんの身体から離して置く必要があるけれど、それがわかっていたのに事故が起こったケースもあるの。
熱傷を予防するためにはほかにどんな点に注意が必要か、みていきましょう。
●今回の事例:
60℃の湯を入れた湯たんぽを準備し、その上に下肢冷感のある患者の両下腿を乗せた。1時間後に湯たんぽを外したが、しばらくして患者の下腿にびらんと滲出液が認められ、熱傷をきたしたと判断された。

「温かい」と感じる程度の温度でも熱傷に!

リコ:
この事例では、用意した湯たんぽの上に患者さんの脚を乗せてしまっていますが、これは安全な使用法とは言えませんよね。

ヨシミ師長:
その通りで、湯たんぽは患者さんの体から10cm程度離して置くことが基本よ。
あらかじめ厚手の湯たんぽカバーに入れておくことはもちろん、湯が漏れる危険性も考慮して注湯口を上向きにし、カバーの口があるほうは患者さんに向けないといった配慮までしてほしいものね。

リコ:
温罨法の目的や実施時間、湯たんぽの素材などにもよりますが、事例のように60~70℃くらいの湯を使用することは多いと思います。
温度がもう少し低ければ、患者さんの身体に直接当てても問題なかったのでしょうか?

ヨシミ師長:
「低温だから大丈夫」と考えるのは大きな間違いよ。
低温熱傷は、44℃程度のものであっても3~4時間触れていると生じてしまうの。
もちろん、温度が高ければ熱傷に至るまでの時間も短く、46℃では30分~1時間、50℃ではわずか2~3分ほどということもあるのよ。

リコ:
「バスタオルで何重にも巻いたから」「少しの時間だから」といった理由で安易に湯たんぽを患者さんの身体に当てるのは、実は危険だということがわかります。
そもそも湯たんぽは、身体に接触しないように使用するのが基本だということをあらためて認識する必要がありますね。

ヨシミ師長:
湯たんぽが身体に直接接触していた事例では、水疱や皮膚の損傷など、熱傷がII~III度にまで至ることも多いわ。
二次感染を引き起こすおそれもあるわけだから、「たかが湯たんぽ」と軽視するのは禁物よ。

患者さんから離して置いた「はず」なのに・・・

リコ:
湯たんぽを患者さんの体から離していたにもかかわらず、熱傷を招いた報告もあるようですね。

ヨシミ師長:
その事例の患者さんには右側麻痺があって、特に麻痺側の冷感が強いということで湯たんぽを使用していたそうなの。
麻痺のない左手を使って体を動かすことはできたから、温まろうと自分から湯たんぽに脚を乗せてしまったことが原因と考えらえているわ。

リコ:
この事例では右踝に4cm大の水疱が2つ形成されたということですが、麻痺側ということもあり疼痛の訴えがなかったことも、熱傷に気づくタイミングが遅れた一因かもしれませんね。

ヨシミ師長:
報告されているケースのほとんどで、患者さんに上肢・下肢障害があったり、意識レベルが低下していたりするの。
体性感覚の低下や意識障害が見られる患者さんであれば、湯たんぽの使用はより注意深く行う必要があるわね。

リコ:
患者さんの体動が予想されるときなどは、湯たんぽは寝具を温めるためだけの短時間に限定したり、電気毛布などに代替したりすることも検討したいです。

ヨシミ師長:
ご家族が湯たんぽを持参し、医療従事者への報告なしに患者さんの脚元に置いて帰ってしまい、気づいたら熱傷をきたしていた・・・という事例もあったそうよ。

リコ:
湯たんぽのような一般家庭で日常的に使用されるものは、気軽な気持ちでご家族が持ち込んでしまうことも十分に考えられますね。
私も入院した友人から、点滴の副作用で脚がかゆくなったとき、親に頼んで市販のかゆみ止めを持参してもらったという話を聞いて驚いたことがあります。

ヨシミ師長:
家族の入院となると気が動転してしまい、思いがけない行動につながることもあるわ。
事故防止の観点からも、入院中に医療従事者への報告が必要な持ち込み品についてしっかり説明することを心がけてね。

参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第35回報告書(平成25年7月~9月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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