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事例で学ぶ看護技術 検査台からの患者の転落事故を予防する

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検査室の検査台って、乗ってみると結構狭いですよね。
寝返りを打とうとすると、落っこちてしまいそうなくらい。
実際、患者さんの検査台からの転落事故が報告されているわ。
なぜ、転落事故が起こってしまうのか、どうすれば防げるのか考えていきましょう。
●今回の事例:
外来にて、認知症と左片麻痺を抱えた患者が腰痛を訴えたため、腰部X線撮影を行うことになった。
撮影中は外来看護師と診療放射線技師が患者に付き添っていたが、途中で緊急の電話対応が必要になったため、外来看護師は患者のそばを離れた。
撮影後、診療放射線技師が撮影室の外で画像を処理していると、撮影室内から「ゴトッ」という大きな音がした。
すぐに確認すると、患者が撮影台から転落していた。
再度X線撮影をしたところ大腿骨転子部が骨折しており、入院となった。

検査台からの転落が起こるわけ

リコ:
この事例は、患者さんが一人きりで検査台に臥床していたときに起こっています。
患者さんが認知症であるという情報は共有されていたようですが、撮影中にまったく体動がなかったことから、外来看護師は「患者さんが動く可能性は低い」と判断してその場を離れたようです。

ヨシミ師長:
医療施設にある検査台は、昇降や傾斜が可能だったり医療機器と連動していたりと様々な種類があるけれど、どれも幅が50~70cm程度で狭いし、ベッドのように左右に柵がないことが多いわよね。
だから、患者さんが検査台の上で起き上がろうとしたり身体の向きを変えようと動いたりすると転落する危険性があるのよ。

リコ:
今回の事例では、患者さんに左片麻痺があったわけだから、とっさに身体を支えるという安全確保のための行動ができない可能性が高いですね。

ヨシミ師長:
そのうえ認知症だから、医療従事者が「動かないでください」と声をかけても、その通りにできない可能性があるわ。
このような複数の転落リスクがある状況で、看護師が「患者さんが動く可能性は低い」と判断し、転落予防策を講じなかったことが事故に繋がったと言えるわね。

リコ:
そう考えると、転落事故のタイミングは検査後だけではなく、検査前や検査中にもあることになりますね。

ヨシミ師長:
検査時の患者さんの状態に注目すると、薬剤により鎮静状態にある場合、意識障害がある場合、認知症がある場合に多くの転落事故が報告されているわ。
寝たきり、片方の手の麻痺、床上安静といった状態の患者さんでも注意が必要ね。
そばにいる医療従事者にも「きっと体動を起こさないだろう」「じっとしていてくれるだろう」という油断が生じ、「そばを離れても大丈夫だろう」「目を離しても問題ないだろう」となりがちなのよね。
転落事故が起こってしまった場合、事例のように骨折に繋がるほか、頭部を打って外傷性くも膜下出血や硬膜外血腫をきたしたケースも報告されているのに・・・。

リコ:
患者さんと意思疎通を図るのが難しい場合や、物理的にとっさの安全行動が取りにくい場合は、転落リスクが高いということですね。

安全対策が逆にリスクになることも・・・

リコ:
例えば、検査台に柵を設けたり、患者さんの身体をベルトで検査台に固定したりすることは、転落予防策としてどうでしょうか?

ヨシミ師長:
そうした方法は有効だと思うけれど、それさえしていれば大丈夫ということではないのよ。
患者さんが柵を乗り越えようとして逆に危険だったり、ベルトで固定されたまま思いきり身体を動かして検査台ごとひっくり返ったりすることも考えられるわ。
患者さんの意識状態や理解度によっては、安全対策がリスクになることもあるのよ。

リコ:
検査台が移動式であれば、タイヤにロックをかけて動かないようにしないと危険ですね。
それから、検査台のリモコンが患者さんのそばにある場合、患者さんが自分で操作してしまったり、患者さんの身体がぶつかって押されてしまったりすることも考えられますが、急に検査台が昇降・傾斜して転落に繋がりかねませんね。

ヨシミ師長:
検査のために検査台の高さを上げたときも、付き添いが離れるときは下げておいたほうが安心よね。
転落リスクはいろんなところに潜んでいるから、そのつど患者さんの状態を把握してアセスメントすることが重要よ。

リコ:
「前回、この患者さんにはこの方法だったから」というように一様に対策するのではなく、そのときの患者さんの状況に応じて適切な方法を探ることが大切だとわかりました。

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参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第50回報告書(平成29年4~6月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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