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いまさら聞けない?「新興ウイルス感染症」とは?

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新興ウイルス感染症は、近年厚生労働省がホームページで頻繁に世界各地での流行状況を更新しており、その種類も多様です。主な新興ウイルス感染症とその特徴、予防に関する考え方について紹介します。

致死率が高い新興ウイルス感染症

国内で流行する感染症で毎年話題となるものに季節性インフルエンザがあります。季節性インフルエンザは、ヒトからヒトに感染が広まるために流行しやすいのが特徴で、ワクチン接種や咳エチケット、マスク着用、外出後の手洗い等による予防が推奨されています。
一方で新興ウイルス感染症は、新たに認知された感染症で、エボラウイルス病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザなどが知られています。
このなかで最も古くから知られていたのがエボラウイルス病です。長らく「エボラ出血熱」と呼ばれていましたが、最近では必ずしも出血を伴うわけではないという理由で、「エボラウイルス病」と呼ばれることが多くなっています。1976年に始めて感染が確認されて以降、20回を超えるアウトブレイクが報告されており、代表的な新興ウイルス感染症といえます。
その他のSFTSやMERS、鳥インフルエンザは1990年代後半以降に新たに報告された感染症です。なかでもSFTSは、日本を含む東アジアでの流行の報告が多く、MERSは、2015年に輸入感染症として韓国で流行したことが記憶に新しいでしょう。鳥インフルエンザは1997年に香港での流行が話題となりました。

何が違うの? 新興ウイルス感染症

新興ウイルス感染症は、初めての報告は比較的最近ですが、ヒトへの感染例がない、あるいは知られていなかったもので、多くは以前から存在していました。今回取り上げたエボラウイルス病、SFTS、MARS、鳥インフルエンザは、宿主がすべて動物であり、動物がもっていても問題のない病原体がヒトに感染して重篤な症状を引き起こすものです。宿主との接触や未加熱肉などの摂取によって感染する点が、ヒトからヒトに飛沫感染などによって感染が拡大するウイルス感染症とは異なります。ただし、リスクは低いものの、発症した人の体液への接触などによっても感染する可能性があることも忘れてはいけません。また、ウイルスによっても異なりますが、発熱や消化器症状などを伴い、高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすくなります
日本は島国ということもあり、動物由来感染症の報告は少ないのですが、世界保健機関(WHO)が把握しているだけでも動物由来感染症は200種類以上に及びます。

ワクチンによる予防の考え方

季節性インフルエンザは、例年流行する型の予測にもとづいたワクチンが製造されています。できるだけ多くの人がワクチンを接種することで感染の拡大を防ぐことができ、予防対策の柱となっています。しかし、動物由来の新興ウイルス感染症の場合、宿主にかかわる仕事をしている人は感染リスクが高いといえるものの、それ以外の人への感染リスクは低く、ヒトからヒトにも感染しにくいという特徴があります。
また、流行も局地的なものが多いことから、患者発生が確認された場合に、その患者さんとの接触者、さらにその接触者へと輪を拡大させていくようにワクチン接種を行う手法が用いられます。この手法をリングワクチネーションといいます。これは天然痘を根絶させた際のやり方に習ったものです。
新興ウイルス感染症のワクチンは、世界各国で開発が進められていますが、ヒトでの臨床試験は流行の発生が報告されたときに限られることもあり、実用化に至っていないものがほとんどです。また、治療法も対症療法に限定されていることから、ワクチン開発とともに治療法の確立についても今後の進展が待たれます。
海外への渡航が増え、海外からの入国者数も増えているなかで、新興ウイルス感染症は遠い存在ではなくなっています。厚生労働省では、主な動物由来の新興ウイルス感染症について、最新の情報や発生状況を随時更新しています。自身の海外渡航はもちろん、患者さんが海外旅行に行く際の指導にも役立てましょう。

参考
厚生労働省:動物由来感染症

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