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抑うつの患者さんとのコミュニケーション

仕事に役立つ看護手技 > 疾患・部位別の看護 編

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やっぱり、抑うつ状態の患者さんに「頑張って」は禁物ですか?

一律に「NGワード」を設ける必要はないと思うわ。ただ、つかず離れず、支持的な態度を示すことは大切よ。

リコ:抑うつの患者さんと接するとき、「この声かけは適切なのかな?」と考えてしまって、なかなか自然に接することができないんです。変に意識しすぎなんでしょうか?

ヨシミ:自分の発する言葉が相手を傷つけてしまったり追い込んでしまったりしないかどうか慎重になるからかしらね。でも、考えてみれば、それって普通の人間関係でも同じじゃないかしら? どういうことなのか、考えてみましょう。

機械的な「NGワード」がコミュニケーションを阻害することも・・・

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まず、抑うつとはどういうものかしら? うつ病や神経症などの精神障害のため、あるいはストレス反応によって現れるうつ症状で、ある程度の期間継続して生活に支障が出るほどになった状態のことね。

イライラしたり、食欲が落ちたり、今まで楽しいと思っていたことが楽しめなくなったり、不眠になったり・・・、何かと活動が停滞しがちになるわ。明らかに表情を失っていたりうなだれたりしている状態もあれば、ぱっと見では分からない状態まで、程度はさまざまよ。ストレスフルなご時世もあって、最近は患者さんの人数が増えていて、受診の予約も多いみたいね。

看護師としてかかわるときに難しいと感じるのは、まずはおそらく声かけかしら。「頑張って」などの励ましの言葉を使わないようにと、看護の授業で習ったり世間的に言われたりしていることもあって、どんな声かけをしたら相手を傷つけないか、追い込まないかと考えてしまうのよね。そして、なかなかうまい言葉が見つけられないこともあるわよね。

でも、それって、ある意味では普通のことじゃない? 抑うつの患者さんでなくても、誰かと話をするときには多かれ少なかれ言葉を選ぶものよね。けっして特別のことじゃない。近づくでも遠ざかるでもなく、ただ支持的な態度で寄り添うことが大切なのよ。

一般的には、抑うつの患者さんを励ますことで自責の念やストレスを増大させてしまい、状態を悪化させるおそれがあるといわれていることは、確かに踏まえておく必要があるわ。ただ、そのうえで、あえて励まそうとする必要はないけれど、個別具体的なかかわりのなかで「頑張りましょう」という声かけが有効なケースもあると思うの。だから、機械的に「これはNGワード」とするのは、やっぱり無理があるのよ。

患者さんの特性を踏まえたかかわりは大切!

支持的な態度のほかに気をつけたいのは、希死念慮がどのくらいあるのか把握することと、大きな決断を控えるようにしてもらうことよ。大きな決断というのは、例えば会社を辞める、離婚する、家を買うといったことね。抑うつの状態では脳の機能が低下していて、その人の正常な思考に基づいた判断ができないこともあるの。そこで大きな決断をすると、後で悔やむことにもなるわ。だから、そういう傾向が見えるときは、家族に協力してもらって行動に移さないようにしないとね。

抑うつの患者さんに対しては、治療と同時にカウンセリングが行われることもあるわ。カウンセリングは、主治医とは別に臨床心理士が担当することが多く、家庭の事情や育ってきた環境などの話にも踏み込んで、その人の全体を把握していくの。メンタルヘルスの問題は、先天的な遺伝に加えて後天的な発育環境にも影響されて生じるものだからね。

状態が上向きになった頃には、認知行動療法を開始することもあるわ。精神科領域ではスタンダードな治療法で、会話形式の治療だけれど保険点数も取れるのよ。これは、簡単に言うと、物事のとらえ方を柔軟にするトレーニングね。どうしても人の物事のとらえ方には癖があって、しかも体調が悪い状態だとなおさら癖が出やすくなるの。でも、何かの出来事があったとき、「絶対」ということはそうそうなくて、「こんなふうにもとらえられる」ということがほとんど。そうした考え方を具体的に学んでいくプログラムなの。

そういう治療やトレーニングを要するという意味では、抑うつの患者さんは確かに特殊な状態にあるわけだけれど、だからといって腫れ物に触るように扱うのはよくないということね。


普通の患者さんとはやや距離感が変わるし、注意すべきポイントはあるけれど、コミュニケーションの基本は共通しているわけですね。ちょっと気分が楽になりました。

そうそう。傾聴や共感、支持という基本的な態度は、抑うつの患者さんにもどんどん発揮していきましょう!

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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