リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

心臓リハビリテーション指導士に聞く(後編)

最新ナースコラム > 現場インタビュー「私の転機」

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


心不全などの慢性疾患は、早期治療とその後の再発予防がポイントになります。治療後の早期離床のための評価から、再発予防のために継続できる運動、生活指導において、どのようなことを心がけているのでしょうか。前回の「心臓リハビリテーション指導士に聞く(前編)」に引き続き、心臓リハビリテーション指導士にお話をうかがいます。

心負荷がかからない運動や活動を
患者さんの生活に合わせて具体的に示すことで再発を予防

聖マリアンナ医科大学東横病院
心臓リハビリテーション指導士 栗原さゆりさん

患者さんが自宅に戻ってもリハビリテーションを継続できる働きかけを

――看護師が心臓リハビリテーションにかかわることのメリットについて教えてください。
心疾患の患者さんは再発、再入院となる方が少なくありません。再狭窄を予防し、内皮機能を改善するためには運動が重要ですし、生活習慣の改善も欠かせません。運動は不安定なプラークを安定させたり、動脈硬化を改善したり、生命予後を延長したりする効果があることがわかっています。また、必要な栄養をきちんと摂ること、過剰にならない食習慣を身につけてもらうことも重要です。

看護師は患者さんのいちばん近くにいる存在です。運動や生活習慣の指導を担う看護師は、単に「運動しましょう」と話すのではなく、なぜ運動が大切か、どの程度の運動であれば安全に行うことができるのか、どんな運動の仕方が適しているのかを具体的に指導することが継続につながると思います。

――生活や運動指導を行うときに心がけていることを教えてください。
やはり重要なのは、その患者さんごとにできる範囲を一緒に確認していくことだと思います。心疾患はこれまでの生活習慣が大きく影響しているため、その生活習慣をふまえたものでなければ患者さんもあきらめてしまったり、前向きに取り組むことができなかったりします。まずは運動を続けることがいかに予後の延長や再発予防にとって重要なのかを理解してもらい、そのうえでできることを示しています。

具体的な指導内容としては、心肺運動負荷試験(CPX)の結果をもとに、どの程度の運動レベルであれば心不全を起こさないかを評価して提示します。特に患者さんに理解してもらいやすいのが、METs換算によって具体的な活動を示すことです。たとえば、METs換算の場合、安静時で1.0METs、平地歩行(ほどほどの速さ)で3.5METsとなりますが、この平地歩行と同等のMETsには、軽い荷物運びや風呂掃除などの日常での活動があげられます。「ここまでは大丈夫、それ以上の運動レベルになると再発のリスクが高くなる」という活動を具体的に示すことで、安全に自宅でも過ごせるようになります。

実際に以前かかわった患者さんが退院後、小走りして心負荷がかかりすぎてしまったことがありました。この程度ならと考えてしまう患者さんもいますが、適正な運動レベルを知り、そのなかで動いてもらうことが予後の悪化、再発予防につながります。その患者さんもMETs換算で具体的な運動レベルを示すことで、自宅で過ごせるようになりました。

また、運動が苦手で続けられない患者さんには、できるだけ医療者とのコミュニケーションの機会が増えるような働きかけをしています。退院後、外来通院だけでは時間が限られますし、医師には言いにくいことも、リハビリテーション室では本音で話してくれることが多いので、外来リハビリテーションに通院してもらったり、病棟にも顔を見せたりしてほしいと伝えています。

生活指導を担う看護師が心臓リハビリテーションにもっとかかわれるように

――今後はどのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか?

当院の循環器病棟は、心疾患の患者さんにはほぼ全員リハビリテーションが入るほど心臓リハビリテーションに力を入れています。スタッフの意識も高く、医師と理学療法士、担当看護師で情報を共有し、休日など理学療法士が不在のときには病棟看護師が2人ついて、血圧などをチェックしながらストレッチや筋トレを担当します。

心臓リハビリテーションは今後さらに需要が高まるものだと思うので、生活面での指導を担う看護師がもっとかかわっていけるようになればと考えています。将来的には理学療法士のみではなく、看護師が急性期の患者さんの安静度の判断もできるようになれば、休日でも安静度を上げられるので、そこを目標に取り組んでいきたいと思っています。そのためにはやはり知識だけではなく経験が重要になりますので、私がその第一歩を踏み出せるようになりたいです。

今後はさらに心疾患の患者さんが増加し、若年化も進んでいくとみられています。いまは病棟看護師に対し、指導や実践を通じて心臓リハビリテーションを伝えているのが現状ですが、少しずつ目を向けてくれるようになっていますので、もっと心臓リハビリテーションに興味を持ってもらえるようにこれからも取り組んでいきたいと思います。


栗原さゆりさん
聖マリアンナ医科大学東横病院
獨協医科大学看護専門学校を卒業後、獨協医科大学病院に入職。2008年に聖マリアンナ医科大学東横病院に入職。2011年、心臓リハビリテーション指導士の資格を取得。現在は看護部主任を務め、循環器・消化器外科・消化器内科の混合病棟に勤務。

TOPへ