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事例で学ぶ看護技術 口頭指示の解釈を誤り、鎮静薬を過量投与

仕事に役立つ看護手技 > 与薬・薬剤 編

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この前、介助についた医師から「いつものヘパ水ちょうだい」と言われたのですが、とっさには何のことだかわかりませんでした。
まだまだ経験不足だと反省です・・・。
ちょっと待って!
口頭指示にはリスクがあり、様々な医療事故につながっているのよ。
実際に起こった事例を見てみましょう。
●今回の事例:
大腸内視鏡検査中、患者が疼痛を訴えたため、医師が看護師Aに対してミダゾラム「2ミリ」を投与するよう口頭指示した。
看護師Aの指導者である看護師Bは、生食8mLとミダゾラム1A(10mg/2mL)を10mLのシリンジに吸い、看護師Aに渡した。
看護師Aは、生食とミダゾラムが入った10mLシリンジと、ミダゾラムの空アンプルを見せながら「ミダゾラム2mLと生食8mLです」と声に出し、医師に確認を求めた。
医師は再度「ミダゾラム2ミリだね」と声をかけ、看護師Aは「はい」と返答した。
投与前、看護師Bが看護師Aに対して「(10mL中)2mLを投与」と注意を促した。
看護師Aは、「ミダゾラム2mL=1A」を投与するものと思い込み、シリンジに吸ったミダゾラム1A(10mg/2mL)+生食8mLを静脈内注射で全量投与した。
全量投与に気づいた看護師Bは、直ちに医師へ報告した。
患者の意識レベルは良好だったが、経過観察目的で1日入院となった。

口頭指示による解釈の間違いが起こるわけ

リコ:
確かに口頭で「ミダゾラム2ミリ投与」と言われたら、「ミダゾラム2mL投与=生食と合わせた計10mL全量を投与」と解釈してしまいそうです。
しかも、指導看護師と一緒に準備し、医師にアンプルまで見せて確認していただけに、安心して投与してしまいそうですね。

ヨシミ師長:
口頭指示の際に単位が省略されたことで、指示の受け手が解釈を誤ってしまったのね。
医師の「ミダゾラム2ミリ投与」は「2mg」という意味だったのよ。
もし指示箋があれば、作成量は「生食8mL+ミダゾラム1A(10mg/2mL)」、投与量は「2mL」と記載され、「10mL中の2mLを投与」と理解できたと思うの。

リコ:
口頭指示に起因する事故は、薬剤に関するものが多い印象があります。

ヨシミ師長:
その通りで、単位の解釈間違いのほかにも、薬剤の希釈、投与量、投与方法などに関してミスが起こっているの。
医療現場で様々な情報を多くの関係者がやり取りする中で、情報伝達ミスをゼロに近づけることは安全な医療のために必須の課題だわ。

リコ:
一口に医療従事者と言っても、職種によりバックボーンが異なり、専門性も持っている知識も違うものですよね。
また、担当していない科が扱っている薬剤については詳しくないし、病院の共通ルールを知る機会もなかなかないし、そもそも病院が異なれば共通ルールも異なります。
それなのに、「医療従事者同士だから自分の解釈と相手の解釈は同じだろう」と思ってしまい、詳細な説明を省いたり略語を使ったりしてしまうことがありますね。

ヨシミ師長:
治療内容は患者さんの状態に応じて変更されることもあるから、その経緯を理解していないために指示の解釈を間違えてしまうこともありそうね。
自分の勤務中に変更があれば理解しやすいけれど、医療従事者の多くは交代制勤務だから、自分の勤務帯ではないときのことも正確に把握する必要があるし、同時に他の勤務帯の人が正確にわかるように情報を残す必要があるわね。

リコ:
実際の現場では、点滴の指示伝票や処方箋を毎回もらうのは難しいですよね。
状況に応じて、正確に伝わる方法を選択できればいいのですが・・・。

口頭指示にまつわるリスクを摘み取ろう!

ヨシミ師長:
口頭指示による情報の流れは「医師→看護師」「指導医・上級医→研修医」というパターンが多いの。
指示する側が相手の経験値に合わせる配慮は必要だけれど、相手がどのくらい経験や知識があるか他者にはわかりにくいから、指示を受ける側も指示内容が十分に飲み込めなかったり自分の解釈に自信が持てなかったりしたら確認しなきゃね。

リコ:
「怖い先生で質問できない」「先輩が忙しそうで聞きにくい」という声をよく聞きますし、私もそう思うことがありますが、日頃からコミュニケーションを取って質問しやすい関係性を築いておくことが大切ですね。

ヨシミ師長:
情報伝達ミスの予防においては、口頭指示でも5W1H(When、Where、Who、What、Why、How)を大切に・・・という話になることが多いわ。
もちろん、そうできるに越したことはないけれど、現実には簡略化された指示であることがほとんどね。
でも、指示する側/される側の両者がヒヤリハット事例の内容を知っていれば、「ここは解釈の間違いが起こりやすい場面だ」と意識して慎重になれると思うわ。

リコ:
そうして一人ひとりが意識するところから、組織全体で指示の仕方や確認の仕方を少しずつ変えていけるといいと思います。
医師や薬剤師を交えて事例検討する機会が持てればなおいいですね。

ヨシミ師長:
各自の意識の問題とは別に、今回の事例に関して言えば、指導看護師がついていたわけだから、その指導者が10mLで準備したシリンジの目盛り2mLの箇所に赤マジックで○や線の目印をつけておいたらどうだったかしら。
2mLだけ投与するということがわかりやすかったかもしれないし、あるいは看護師Aが「この赤い目印は何ですか?」と質問できたかもしれないわ。

リコ:
場合によっては、そうした物理的な予防策が効果を発揮することもある・・・というわけですね。

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参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第40回報告書(平成26年10~12月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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