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医療のタスク・シフティングはどう進む? 特定行為研修を修了した看護師への期待

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医師の働き方改革が進められるなかで、看護師の役割拡大には大きな期待が寄せられています。その背景と、タスク・シフティングに伴ってより注目されている特定行為研修の今後の課題について紹介します。

医師の長時間労働改善に向けた議論

少子高齢化による生産年齢人口の減少や働き手のニーズの多様化など、「働き方」の変革が求められるなかで始まった「働き方改革」。医療においては、厚生労働省が医師の働き方改革に関する検討会を設置し、議論を重ねてきました。
これまでは、医師の使命感や理念が医療を支え、長時間勤務が避けられない状況に対しても医師個人に頼ってきた面がありました。しかし、女性医師が増加し、男性医師も家庭への参加が求められるなかで、もはやその使命感や理念だけに頼ることはできなくなっています。医師の過労死や長時間労働に伴う健康への影響も見過ごすことはできません。
特に勤務医は地域を問わず時間外労働の実態が明らかになっており、医師ひとりあたりの業務負担を軽減する必要に迫られています。医師が医師にしかできない業務に専念できる環境をつくるためには、他職種への業務移管(タスク・シフティング)が欠かせないものであり、医師の働き方改革に関する検討会でも、勤務環境改善に関する取り組みの柱のひとつとなっています。そこで重要な役割を担うのが、診療の補助を行う看護師です。

タスク・シフティングで看護師に求められるもの

医師の業務のタスク・シフティングについて、看護師への移管の検討が継続しているものは、次の通りです。

  • 看護師による実施率が高い静脈採血、静脈注射、静脈ラインの確保、尿道カテーテルの留置等について、看護師へのタスク・シフティングを推進する
  • プライマリケア領域におけるタスク・シフティングも地域包括ケアの枠組みにおいて推進すべき
  • 研修場所の拡大、指導する医師の協力推進、役割の明確化等をはかり、特定行為研修を修了した看護師をさらに増加させることでタスク・シフティングを推進する
  • 「診療看護師」の活用の検討やフィジシャン・アシスタント(PA)の導入等、新たな職種の国家資格化の検討

これらは現時点ですでに病院単位で実施しているものから、今後検討される内容まで幅広いものとなっています。
特にすでに開始から3年目を迎えようとしている特定行為研修については、当初の見込みに比べて進捗が低調となっています。
これに対し、特定行為研修の指定研修機関のさらなる整備を進めるため、都道府県における計画的な取り組みを推進。指定研修機関は40機関(2017年3月末)から、69機関(2018年2月19日現在)と、徐々に増えています。
また、厚生労働省の調査では、医療機関等における特定行為研修の認知度は約7割なのに対し、有床診療所や介護施設での認知度は約5割にとどまっています。受講者増加に向けては、認知度を高めていくことが必要となるでしょう。

特定行為研修強化で認定看護師制度を再構築

医師のタスク・シフティングだけでなく、地域包括ケアシステムを推進するうえで、特定行為研修修了者はキーパーソンといえる人材です。
例えば、高齢化、過疎化が進む地域で医療処置を継続する必要がある患者さんがいる場合、特定行為の研修修了者が在宅に出向くことで、より迅速に、必要なケアを提供することができます。特定行為には、在宅でもニーズが高い褥瘡のデブリードマンや気管カニューレの交換、胃瘻カテーテルの交換などがあり、研修修了者が活躍しています。高齢者は、通院手段がない人も少なくありませんが、看護師が手順書に沿ってケア実施の判断ができれば、訪問時に処置を終えることができ、患者さんの時間的、経済的な負担を軽減することができます。
一方で、医療機関側は、研修受講者を輩出することによる成果が数字ですぐに現れないことや研修期間中の人員確保など、多くの課題があります。
日本看護協会は、特定行為研修制度による従来の認定看護師制度への影響をふまえ、認定看護師制度の再構築を発表しました。本会が実施する認定看護師教育を休講して、認定看護師制度を基盤とした特定行為研修を集中的に実施することとしています。
現状、日本看護協会が実施する特定行為研修を除き、特定行為研修受講者に認定看護師の資格は必要ありません。しかし、すでに認定看護師としての知識やスキル、経験を持つ人が特定行為研修で臨床推論や病態判断、技術を学ぶことによって、様々な現場で高い実践能力を発揮することができます。
また、認定看護師教育に特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育制度の構築も検討しています。
医師のタスク・シフティングやチーム医療を推進するうえで、看護師の認定資格制度や研修制度も変革期を迎えています。
タスク・シフティングに伴う看護師の業務拡大の議論を機に、スペシャリストのあり方や活動のフィールドはさらに変わっていくのではないでしょうか。

参考
厚生労働省:医師の働き方改革に関する検討会

厚生労働省医道審議会(看護師特定行為・研修部会)

日本看護協会:看護職の役割拡大の推進と人材育成

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