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全身麻酔を受けた術後患者の観察

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全身麻酔を受けた患者さんの術後合併症が心配です。どのような症状が考えられるのでしょうか?

麻酔薬の種類に応じて、起こりやすい術後合併症が変わってくるわ。麻酔薬の特徴を知って、特に注意すべき術後合併症に関しては重点的に観察しましょう!

リコ:全身麻酔を受けた術後の患者さんが回復室から病棟へ戻ってきた後も、術後合併症を起こしていないかどうか、ベッドサイドでの観察が大切ですよね。
でも、具体的にどういう合併症があって、どんなポイントに注意して観察すればいいのか、いまいちよくわかっていません。

ヨシミ:全身麻酔の場合は特に注意しなきゃならない合併症がいくつかあるわ。
麻酔に関する簡単な知識と一緒に、ポイントを押さえておきましょう!

全身麻酔で使われる薬剤の種類と特徴

一般的に、全身麻酔をかけるにあたっては、まず静脈麻酔薬を注射して患者さんの意識を失わせるの。
さらに、気管挿管して人工呼吸器で呼吸を補助するわ。
手術中は、点滴で静脈麻酔薬を落とし続けるか吸入麻酔薬を吸入させ、麻酔深度を維持していくのよ。

基礎知識として、全身麻酔で使われる薬剤とその特徴は知っておきたいわね。

・静脈麻酔薬
静脈から投与する麻酔薬。
麻酔導入と覚醒が早いことから、プロポフォールが最も頻用される。
ほかに、ベンゾジアゼピン系のミダゾラムや、バルビツール酸系のチオペンタールなどがある。

・吸入麻酔薬
吸入することで効果を発揮する麻酔薬。
液体の薬剤であり、気化器を通してガスにしたものを吸入する。
用途が広く、副作用が少ないことから、セボフルランが最も頻用される。
ほかに、イソフルランやデスフルランなどがある。

・亜酸化窒素(一酸化二窒素)
吸入麻酔薬の一種。
かつては「笑気ガス」と呼ばれた。
麻酔作用が弱いため単独では使われず、ほかの吸入麻酔薬と併用される。
分解されて一酸化窒素になるため、オゾン層破壊の原因となる点にも配慮が必要。

・局所麻酔薬
全身麻酔の際、術後の創部の痛みを軽減するためなどに使われる。
麻酔方法としては、硬膜外腔に局所麻酔薬(リドカイン、メピバカイン、ロピバカインなど)を注入する硬膜外麻酔などがある。

・筋弛緩薬
神経などに作用して、筋肉の働きを弱める薬剤。
手術を受ける患者を不動化するため、麻酔薬と併用される。
また、例えば腹部の手術の際、腹壁の緊張を緩め腹腔を膨らませやすくして、スムーズに手術できるようにするためにも使われる。

2007年からは、日本でも超短時間作用性麻薬のレミフェンタニルが臨床使用できるようになり、プロポフォールと併用することで吸入麻酔薬を使わない全静脈麻酔(total intravenous anesthesia;TIVA)が普及してきているのよ。
吸入麻酔と同じように、適切な麻酔深度の維持や速やかな覚醒を図ることができるうえ、手術室内が吸入麻酔薬のガスで汚染される心配もなくなるなどのメリットがあるのよ。
TIVAは1つのキーワードだから、覚えておいてね。

全身麻酔に関連する術後合併症

術後の患者さんは、手術そのものの侵襲だけでなく、麻酔薬によっても体(特に臓器)に負担がかかっているわよね。
病棟に戻ってきて、パッと見では元気そうでも、術後合併症が隠れていたり、時間がたってから現れたりすることもあるから、注意深い観察が必要よ。
では、麻酔に関連した術後合併症についてみていきましょう。

まず、比較的よくみられるものとして、気管に入れたチューブや吸入麻酔ガスの影響で、喉の痛みや嗄声が現れることがあるわ。
たいていは2~3日で回復するけれど、それ以上続くようであれば、医師と相談する必要があるわね。

また、吸入麻酔薬の影響で、術後悪心・嘔吐を招くこともあるの。
女性や非喫煙者、長い手術時間などがリスク因子として指摘されているわ。
麻酔方法の工夫や麻酔導入時・手術終了時の制吐薬の投与で、できるだけ予防するよう考えられているのよ。

麻酔薬の影響で術後(特に覚醒時)にシバリングがみられることもあるわ。
麻酔薬の多くは、シバリングの閾値を低下させるの。
特に、先ほど言ったレミフェンタニルでの術後シバリングは、しばしば問題になっているのよ。

局所麻酔薬では、アレルギー症状が起こる可能性もあるわ。
蕁麻疹やかゆみなど軽い症状で済むこともあるけれど、血圧が大きく低下して生命の危険に曝される場合もあるから、術中・術後に局所麻酔薬を投与するケースでは要注意ね。

また、ごくまれだけれど、吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬(スキサメトニウム)によって悪性高熱症を引き起こすことがあるわ。
すぐに適切な治療をしなければ致死率が高いため、体温モニタリングを徹底して早期発見に努め、いざというときは特効薬のダントロレンを投与することになるわ。

プロポフォールの長期高用量使用例では、プロポフォール注入症候群に注意が必要よ。
代謝性アシドーシスや横紋筋融解症を起こして、最悪の場合は死に至ることもあるわ。


重篤なものも含めて、さまざまな術後合併症があるんですね・・・。

呼吸や循環、体温などをしっかりとモニタリング・監視して、特に術後しばらくは異変の早期発見に努めましょう!

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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