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トリアージナースに聞く(後編) 救命で感じる「ありがとう」の重み

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救急看護師に必要なのは“処置屋”になることではなく “いま、何が必要か”という視点

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茨城県厚生連 JAとりで総合医療センター
救急看護認定看護師 染谷泰子さん

現在、診療報酬で院内トリアージ実施料が算定できることから、専任の看護師がトリアージを担当する施設が増えています。
救急外来に搬送される多くの患者をみるために看護にはどのような視点が求められるのか、インタビュー前編に引き続き、救急看護認定看護師にお話をうかがいます。

ホットラインの生の声から状況を判断して
必要な情報を取ることでアセスメント能力も高まる

――救急看護においては看護師にどのような視点が求められますか?
特に救急外来が忙しくなるのは12月、1月で、年末年始には1日300名ほどの患者さんを診ます。
救急車で搬送される患者さんだけでなく、自家用車などで来院する患者さんもたくさんいますので、最初に待合室で看護師がトリアージを行います。
トリアージに限りませんが、看護師に求められるのは、“この患者さん何か変だ”と気づくことであり、そのためには経験も必要です。

若い看護師には、「患者さんをちゃんと観るという意味がわかるまでみなさい」と指導しています。
救急看護においては、救命がまず優先されますが、患者さんを観るということは、その患者さんの家族や社会的背景などを観ることでもあります。
救命処置が一段落したところで、家族への連絡がとれているかなど、“その次”を考えられる看護師であってほしいと思います。

例えば、救急外来には寂しさから救急車を呼んでしまう患者さんが来ることもあります。
胸が痛いと訴えていても、所見に異常はみられません。
しかし、救急車を呼ぶということは何らかのSOSを発しているわけですから、必要なのが医療なのかケアなのかを見極めて、医療的に問題がなければ看護の問題として対応しなければなりません。
このようなケースでは治療ではなく見守りが必要と判断し、ケースワーカーにつないで市役所で巡回をしてもらうことで、救急車を呼ばなくなりました。
それによって医師は本当に必要な患者さんへの救命に集中することができます。

もちろん、看護師がすべてを担うことはできませんが、看護師の気づきからケースワーカーにつなぐことが重要であり、それが救命だけではない、その人の背景をケアすることだと思います。
重要なのは、救急看護師が“処置屋”になるのではなく、“この人にいま、何が必要か?”という視点を持つことではないでしょうか。

――いま、現場で取り組んでいることについて教えてください。
プレホスピタルにもっと興味を持ってもらいたいと思います。
そのためには救急救命士の活動をもっと知ってもらう必要があると考え、日中は看護師がホットラインを受けるようにしました。
現場から生の声を聞くことで必要な情報がきちんと取られているかどうかもわかりますし、漏れ聞こえる現場の状況から、「現場が本当に混乱していて、情報を取ることも難しい状況なのだな」と理解することもできます。

そのなかで必要な情報をいかに得るか、というアセスメント能力も身につきます。
また、救急救命士が伝えるべき情報と病院が欲しい情報が必ずしもリンクするわけではありませんので、そこを理解したうえでコミュニケーションがはかれるようになればと考えています。

ホットラインを直接取ることは、救急看護に対するモチベーションにもなりますし、得られた情報から必要な情報を迅速に整理して医師に報告することも看護師の重要な役割です。

一つひとつの症例を大切に、毎日を楽しく生きることが大切

――救急看護のやりがいや救急看護に興味のある看護師にメッセージをお願いします。
救急外来では、軽症の患者さんからお礼を言われることはありますが、重症で搬送され、厳しい状態のなかで救命ができた患者さんは救急外来のこと自体を覚えていません。
しかし、生死をさまようなかで救命できた患者さんですから、その症例は強く心にも残っています。
だからこそ家族などに状況を聞いて訪ねてきてくれたときには、向こう2年くらいは元気に仕事が続けられるくらい、その「ありがとう」の重さを感じますし、救命できてよかったと強く感じます。

そして、救急医療を成功させるにはチーム医療が欠かせません。
コミュニケーションがしっかりとれていることがチーム医療のカギとなりますし、コミュニケーション能力を高めることは、看護師として、ひとりの人間としての成長にもつながります。
そのなかで医師やコメディカルと協力しながら患者さんを助けるための最善を尽くす、その一員になっていることでの達成感ややりがいは大きいと思います。

救急看護に限りませんが、日々の一つひとつの仕事に喜怒哀楽をなくしてしまったら看護の仕事はつまらなくなってしまいます。
一つひとつの症例を大切に、毎日楽しく生活することが大切だと思っています。

染谷泰子さん
茨城県厚生連 JAとりで総合医療センター
三井記念病院高等看護学院を卒業後、三井記念病院に入職。
2001年、JAとりで総合医療センターに入職。
2004年、日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程救急看護学科に入学。
2005年、救急看護認定看護師資格を取得。
日本救急看護学会、日本集団災害医学会評議員、日本救急医学会関東地方会理事を務める。

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