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看護専門外来設立へ スペシャリストたちの取り組み(後編)

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スペシャリストがその専門性を発揮し、患者さんのケアや相談を受ける外来部門として注目されている看護専門外来。各施設が開設を進めており、外来通院の患者さんだけでなく、家族や地域の訪問看護師や介護職員との連携の場としても機能しています。2015年11月に看護専門外来を中心とした患者支援センターを開設した関東中央病院で、前回に引き続き専門資格をお持ちの2人にお話をうかがいました。

「相談できる場がない」の声にリソースナースとしてできること

公立学校共済組合 関東中央病院
(右)がん看護専門看護師/皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)井本俊子さん
(左)皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)石川扶貴子さん

スタッフの信頼を得て病院側にメリットを示すことが重要

――看護専門外来の開設や運営をうまく進めるにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
井本さん(以下、井本) スタッフに対しては、外来での患者さんへのケアや相談など、実際関わった件数や内容の結果を示して信頼を得ていくことが大切です。例えばストーマ看護外来の場合、当院のストーマ造設患者さんの外来フォロー率などのデータを病棟看護師に示して、ストーマ看護外来に依頼することの大切さを伝えます。そして日常のコンサルテーションや勉強会を通じて、病棟看護師との関わりを深めてきました。
がん看護相談は、緩和ケアチームの外来で患者さんに案内をしたり、月1回の外来看護師とのカンファレンスを通じて困っている点を拾い上げ、その方策を伝えたりしています。協力を得たり、システムを作ったりする際には、修士課程で学んださまざまな理論が活かされたと思います。
 もうひとつのポイントは病院側の理解です。ここでは、診療報酬の算定に関わる要件を具体的に示すことが重要になります。ストーマ看護外来は以前から算定ができますが、例えばがん看護相談では、当院が東京都のがん診療連携協力病院になっているため、その施設要件である緩和ケアの苦痛スクリーニングを実施する役割も担うことで、病院側にもメリットを示すことができます。これらも書類を作成して具体的に示すことで理解が得られやすくなります。

スペシャリストは院内だけでなく地域のリソースになるべき

――患者さんからの反響はどうですか?
石川さん(以下、石川) 私はストーマ看護外来を担当するようになって数か月ですが、何十年も前にストーマを造設した患者さんから「相談するところがなくて困っていた」という話を聞きました。特に「ずっと自分で管理していたが、高齢になり自分でできなくなった」という患者さんの場合、ケアを手伝ってこなかった家族はその方法がわからずに困っています。家族だけでなく、地域の訪問看護師や訪問介護員が「ケアの方法を見せて欲しい」と一緒に来院されたり、ケアマネジャーから生活面で困っている患者さんの相談を受けたりすることもあります。
 地域とのつながりができ、いつでも相談できる専門の窓口になれることが看護専門外来のメリットのひとつですので、地域の訪問看護師や施設からの電話相談にも対応しています。

井本 私は以前、看護部長の許可をいただき、必要時に訪問看護に同行していたことがあります。そこで感じたのは、地域の看護師や介護職員が「相談できる場がない」ということでした。私は専門看護師や認定看護師は、地域のリソースであるべきだと考えています。その思いから年1回介護施設など関わるさまざまな職種の方向けの勉強会を開催したり、メールで連絡を取り合ったり、介護施設での直接指導なども行ってきました。今後はもっとつながりを深められればと思います。

石川 特に世田谷区はストーマ看護外来のある病院が少ないので、他施設で造設した患者さんから「フォローが受けられない」、「外来での診療が終わって何か困ったときにも相談できる場がない」という声を聞きます。当院ストーマ看護外来は他施設で造設した患者さんにも受診してもらえるので、困っている方はぜひ活用してもらいたいと思います。

井本 看護専門外来を受診された患者さんの満足度調査もしていますが、「うれしかった」、「待っている間も家族と話す機会ができた」とみなさん満足していただいています

――ステップアップを目指す看護師にメッセージを。
石川 ICUにいた頃は、急性期を脱すれば後は病棟での管理になるため、“その後”を考える機会はあまりありませんでした。今思えば視野が狭かったと思います。退院後、自宅に戻ることが困難な患者さんが多いため、その先を考えると、外来の役割、看護師によるケアや支援は重要だと思います。だからこそできるだけ情報を伝えたり、電話相談に応じたりする必要性を痛感していますし、やりがいにも感じています。

井本 看護がなければ医療の現場に希望は見出せないといえるほど、看護はその人の人生に関わる大事な、そしてすばらしい仕事だと思います。私は、大学院のときにニューマン理論を学び、恩師である遠藤恵美子先生から教えていただいた「人が助けを求めるときは看護師のところに求めてくる。だから私がどうあるべきかが大切」という言葉を大切にしています。がんばっていれば、それが人に伝染するように伝わっていくので、「やらないといけない」とか、「誰かやってくれないか」と思うのではなく、自分がどうあるかを大切に、仕事をしています。そして自分がどういう影響を与えられるかを考えて一つひとつ取り組んでいけば、少しでも患者さんの役に立つのではないでしょうか。

■「看護専門外来設立へ スペシャリストたちの取り組み(前編)」はこちら
https://nurseful.jp/article/magazine/?p=1743


井本俊子さん
看護専門学校卒業後、関東中央病院に入職。2007年、社会保険看護研修センター皮膚・排泄ケアコースに入学し、翌2008年皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得。2009年、武蔵野大学通信教育部科目等修生看護学コース、2012年武蔵野大学大学院看護学専攻(がん看護CNSコース)に入学。2014年、がん看護専門看護師資格取得。2010年に専従の褥瘡管理者を経て、2015年、専従の緩和ケアチーム看護師となる。

石川扶貴子さん
看護専門学校卒業後、関東中央病院に入職。外科病棟、ICU勤務を経て、2011年、日本看護協会看護研修学校皮膚・排泄ケア認定看護師教育課程に入学。翌2012年に皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得。2015年に専従の褥瘡管理者となり、看護専門外来では、ストーマ看護外来と糖尿病フットケア外来を担当。

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