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インターベンション治療は意識下で行われるからこそ患者さんの不安軽減に努めることが看護の役割

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全国土木建築国民健康保険組合 総合病院 厚生中央病院
看護師 野口純子さん

近年、症例件数が増加しているインターベンション(IVR)は、がん治療や動脈硬化、中心静脈ポートの埋め込み、ドレナージや胃瘻造設など、さまざまな分野で用いられる検査・治療法です。IVRに携わる看護師には、こうしたさまざまな分野の専門知識と看護技術を発揮するとともに、チーム医療を推進するうえでの調整役など、多くの役割が求められます。
今回は、IVR看護のエキスパートにお話をうかがいます。

乳がん患者さんとの出会いがIVR看護を深める転機に

――インターベンション看護との出会いについて教えてください。

看護学生時代の臨地実習で心血管のインターベンション治療(IVR)を初めて目にし、「こんな治療があるのだ」と思いました。今、振り返れば、日常的に行われている治療ですが、当時の私には大きなインパクトがありました。

看護学校卒業後に入職した大学病院では、IVR看護に携わりたいと思い、放射線科への配属を希望しました。
臨地実習で見た心血管IVR以外にも、カテーテルを使った検査や治療が数多く実施されていることを知り、より一層関心を持つようになりました。

その後、結婚や出産を機に放射線科を離れましたが、縁があって再び放射線科に配属されました。
やはりこの分野が好きだという思いもありましたし、いろいろな患者さんとの出会いを通して、もっと看護の出番があるのではないかと感じるようになりました。

――インターベンション看護師としての転機となった出来事について教えてください。

乳がんで動脈の圧排があり、血流改善を目的にステント挿入を行った患者さんとの出会いは大きかったと思います。
そのときはIVR治療で何とか患者さんを楽にしてあげたい一心でしたが、外科医一人で看護師も私だけでしたので、どちらかといえば私は医師寄りの立場になっていました。

そのことに気付かされたのは、1回目の治療が終了した後でした。医師が患者さんに説明をしていたとき、患者さんが「寒い、寒い」と話していたので、何気なく手を握ったところ、「看護師さんの手、温かい」と言われたのです。
患者さん自身は物理的な寒さから、そう言ったのかもしれませんが、その一言で、「私は看護師として、今日この患者さんのために何をしてあげられたのだろう」という思いが頭をよぎったのです。

IVRは、手術室看護に似ているところがありますが、決定的に違うのは、患者さんの意識があるかないかという点です。
意識下で行われる治療だからこそ、患者さんの不安軽減に努めることが看護の役割だという意識を持ってやっていたつもりでしたが、このときは、医師の治療の補助にウエイトを置いてしまっていたのです。

私が看護師になったころ、たとえば経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD)などは、医師だけで行っていました。
そのため当時のIVR看護師は医師の治療の補助としての役割が大きく、看護師自身もIVR看護の専門性について理解できていなかったと思います。

IVR中、患者さんは身体を動かせませんが、医師や看護師のやりとりはすべて聞こえていますので、それがかえって恐怖心につながることもあります。
だからこそIVR看護師は医師の治療の補助を行うだけでなく、初めてIVRを受ける患者さんに治療説明を十分に行って不安を取り除き、IVR中もコミュニケーションをはかりながら、患者さんの不安やニードを把握してケアを行っていくことが重要だということを、この乳がん患者さんの症例を通じて改めて学ぶことができました。
それこそが看護の専門性であり、IVRで発揮すべき看護の力なのだと思います。

しかし、当時こうした考え方はIVRに携わる看護師のなかでもまだまだ広まってはいませんでした。
そこで、この乳がん患者さんの症例の振り返りをIVR看護研究会で発表しました。
研究会に参加していたメンバーも、同じような経験を持つ人が多く、現場での悩みや思いが共有できました。
IVR看護を広め、質を高めていくためには学びが必要だと考え、以来、IVR看護研究会のプロジェクトメンバーとして活動しています。

資格取得ではなく、取得後にどのような活動をするかが重要

――IVRに携わる看護師のための資格制度にはどのようなものがありますか?

現在、日本インターベンショナルラジオロジー学会と日本心血管インターベンション治療学会の合同認定資格として、インターベンションエキスパートナース制度(INE)があります。
この資格は、IVRの裾野を広げることを目的に作られたもので、IVRの専門知識と看護技術を修得した看護師を認定する制度です。
資格取得の条件が整っていれば、取得自体がそれほど難しいわけではありませんが、大切なのは資格取得後、どのような活動をするかだと思います。
今後、IVR看護を広めていくためには、実践に加えて指導的立場で活躍できるINEを育成していく必要があると考えており、現在、INEのアドバンスコースなどの設立をめざしています。

また、学会や研究会への参加でも、多くの学びがあります。2015年3月7日、東京で第15回IVR看護研究会が開催されます。
IVRは看護師の人員配置も少ないので、先輩がやっていた通りのまま、マニュアル通りに行ってしまうことも少なくないのではないでしょうか。
IVR看護に携わる看護師が学び、思いを共有できる場ですので、ぜひ多くの方に参加してもらえたらと思います。

「この病気、カテーテル治療はできませんか?」と患者さんから質問される時代をめざして

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多くの分野で検査・治療に取り入れられているインターベンション(IVR)。IVR看護師の専門性を発揮するためにはどのようなことが求められるのでしょうか?

医師との信頼関係を構築するためには看護師が自律し、学びを深めることが重要

――インターベンション治療(IVR)の看護に求められるものは?

看護師であれば、マニュアルに従ってIVRを行うために必要な物品を揃えたり、医師の治療の補助を行ったりすることはそれほど難しいことではないと思います。
しかし、本当に求められるのは、医師の指示のもとに動くのではなく、パートナーになることです。
そのためには、看護師が自律し、IVRを看護の視点でみること、そのなかで医師に意見を求められるような信頼関係を構築していく必要があります。

IVRは日進月歩の治療であり、IVR看護を実践するためにも勉強は必須です。
やはり知識がないと患者さんに何かしてあげたいと思ってもできませんし、医師からの信頼を得ることも難しいでしょう。
私もまだまだ勉強中ですが、これまでも今年は脳外科分野の解剖、今年は泌尿器科というように目標を立てて少しずつ勉強してきました。

IVRにはさまざまな治療がありますが、同じ治療を受ける患者さんでも、一人ひとり異なります。
そのため看護師には、「IVRを受ける患者さんの看護」ではなく、「この患者さんが受けるIVR」という視点を持つことが求められます。
また、IVR看護は一期一会のイメージがあるかもしれませんが、同じ患者さんが何度も受けることがあります。その都度IVRの目的も異なりますので、継続的な看護の視点も必要です。

――現在の活動ややりがいについて教えてください。

IVR看護の実践はもちろん、マニュアルの整備やソフト面、ハード面の環境整備などを行うとともに、指導的立場として、救急外来の看護師への夜間緊急時のIVR対応などの教育にも当たっています。
IVRはチームで進めていくものなので、コメディカルカンファレンスなども開催しています。

以前勤務していた大学病院では、最先端のIVR治療を学ぶとともに、多くの患者さんに安全にIVRを受けてもらうためのマネジメント能力も養うことができました。
今は、入院中、複数回IVRを受ける患者さんを継続的に担当できたり、退院後に来院した患者さんに声をかけられたりするのも仕事をするうえでの喜びになっています。

当院で動脈瘤のIVR治療を受けた患者さんが経営する飲食店に、医師をはじめ、チームのみんなで行ったこともありました。
その患者さんは一時、深刻な状況に陥ったこともあり、ご家族にも大きな不安があったと思います。
そんな状況を乗り越えて元気で働く姿を見たときには、何よりうれしかったです。

IVR看護に夢を持てるように啓発活動に注力していきたい

――今後はどのようなことに力を入れていきたいと考えていますか?

3月に開催されるIVR看護研究会のテーマを「IVR看護 明日への挑戦」とし、IVR看護師に「夢」を募ったところ、「IVR看護回診をしたい」「子どもたちに将来IVR看護師になりたいと思ってもらえるようにしたい」など、多くの思いが寄せられました。

そのためには、IVRが治療としてもっと広がるように活動を続けていかなければなりませんし、治療を選択する患者さんから「カテーテル治療はできませんか?」と質問を受けるようにならなければと思います。
そして、IVRによる治療を選択した患者さんには、「カテーテル室には看護師がいるから安心」と言ってもらえるようになることが私の夢のひとつです。

その昔、「手術室には看護がない」と言われた時代がありました。
そこから先輩たちが尽力し、手術看護が確立され、日本看護協会の認定看護師制度に手術看護の分野が特定されるまでになりました。
IVR看護はまさにその過程にあると思います。
診療報酬の算定という大きな夢もありますが、まずはIVRで看護の専門性を発揮したいと考えている看護師がIVR看護に携わり続けられるように、IVRに専門的な知識を持つ看護師が入ることによる成果を示していく必要があります。
私自身も患者さんに安心してIVRを受けてもらえるように、そして医師に信頼されるIVR看護師であるためにも、学びを続けていきたいと思います。


野口純子さん

全国土木建築国民健康保険組合 総合病院 厚生中央病院

東京医科大学看護専門学校を卒業後、同大学病院放射線科に入職。
2003年にIVR看護研究会のプロジェクトメンバーに就任。
2008年日本IVR学会認定IVR看護師(現:インターベンションエキスパートナース)資格を取得。
2013年より現職。

IVR看護研究会ホームページ:http://www.ivr-nurse.jp

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