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ナースが知りたい!くすりの知識 塗り薬ではない注射タイプのアトピー性皮膚炎治療薬 デュピルマブ(商品名デュピクセント)

仕事に役立つ看護手技 > 与薬・薬剤 編

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塗り薬ではなく皮下注射で投与するアトピー性皮膚炎の治療薬ができたそうですね。

注射薬であるデュピルマブは、中等度・重度のアトピー性皮膚炎に対する効果が報告されているわ。
既存の塗り薬とは違った使用上のポイントがあるから頭に入れておいてね。

アトピー性皮膚炎に関与するサイトカインの働きを抑制

デュピルマブはヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体で、アトピー性皮膚炎治療薬としては初めての生物学的製剤なの。
生物学的製剤というのは、化学的に合成した物質ではなく、生物が作り出した物質を薬物として利用するものよ。
ステロイド外用薬などによる従来の治療では十分な効果を得られなかったアトピー性皮膚炎に新たな機序でアプローチする、期待の新薬とされているわ。
塗り薬ではなく注射薬(皮下注射)であることも特徴の1つね。

デュピルマブはアトピー性皮膚炎の進展に関与する2型サイトカインであるIL-4とIL-13の働きを抑制することができるの。
IL-4とIL-13には、皮膚に炎症を引き起こしたり、皮膚のバリア機能を低下させたりする働きがあるのよね。
デュピルマブがそれらの受容体に結合してシグナル伝達を阻害することで、皮膚の炎症反応を抑えることができるという仕組みよ。

臨床試験では、EASI(他覚的なアトピー性皮膚炎重症度を表す指標)がベースラインより75%以上改善した患者さんの割合を比較したところ、プラセボとステロイドを使用したグループ(n=315)は23.2%だったのに対し、デュピルマブとステロイドを併用したグループ(n=106)は68.9%という結果が出たそうよ(いずれも16週時、p<0.0001)。

効能・効果

既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎

添付文書では「ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に用いること」とされているわ。

厚生労働省の「最適使用推進ガイドライン」では、具体的な投与対象として、ステロイドなどによる治療を直近の6ヵ月以上行っていても十分な効果が得られず、さらに体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上といった複数の基準に該当することが必要とされているわ。

用法・用量

通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。

デュピルマブによる治療反応は、通常は投与開始から16週までには得られるとされているため、それまでに治療反応が得られなければ投与中止を考慮することになるわ。

また、デュピルマブ投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用することを覚えておいてね。

注射可能な部位は、腹部(臍周り5cmは避ける)、大腿部、上腕部よ。
注射部位の皮膚は正常な状態でなければならず、アトピー性皮膚炎の強い炎症がある部位、損傷や打撲、傷のある部位は避ける必要があるわ。

デュピルマブは研究開発費用がかさみがちな生物学的製剤だから、実際問題として患者さんの経済的負担が軽くないことには留意したいわね。
具体的には、2018年7月現在で1回投与分(300mg)の薬価は約8万円だから、3割負担の患者さんだと毎回2万4,000円ほどの負担となるわ。
このことからも、投与対象を適切に選別する必要があることがわかるわね。

使用上の注意、副作用

デュピルマブの投与により、過敏症反応(ふらつき、めまい、息苦しさ、心拍数上昇、悪心など)が現れる可能性があるから注意が必要よ。
また、注射した部位に発疹や腫れが生じたり、ヘルペス感染や結膜炎といった副作用を起こしたりすることもあるの。
さらに、デュピルマブは免疫機能を抑制することから、寄生虫への抵抗力が弱まってしまうという側面もあるわ。


患者さんの重症度などを十分に考慮して、塗り薬のみで治療するべきか、デュピルマブを併用すべきかを適切に判断する必要があるわけですね。

アトピー性皮膚炎は患者さんのQOLを著しく損ねるだけに、難治性の患者さんに希望が生まれたことは大きいと思うわ。

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参考文献
デュピクセント 添付文書.
※効能・効果・使用上の注意等、医薬品の最新情報につきましては、各製品の添付文書等をご参照ください。

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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