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現場インタビュー 私の転機 がん看護専門看護師に聞く(後編)

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自らのこの先の生き方を考えて急性期病院から在宅ホスピスに転職し、「地域に求められる看取りの場の選択肢のひとつになりたい」と、日々奮闘するファミリー・ホスピス本郷台の小笠原利枝さん。
前編に続き、専門看護師として拡大する役割と、在宅ホスピスに求められている看護について伺います。

在宅ホスピスは患者さんや家族が主役
地域での看取りの場をもっと増やしたい

ファミリー・ホスピス本郷台1

ファミリー・ホスピス本郷台
センター長
がん看護専門看護師 小笠原利枝さん(写真中央)

急性期から在宅までの幅広い経験で
その人に合う最適な緩和ケアを提案

急性期病院と在宅で提供するホスピスケアの違いは何でしょうか?

急性期病院でも緩和ケア病棟は24時間面会ができたり、お酒を飲んだりペットが飼えたりと、条件はかなり緩やかです。
しかし、医療や看護の提供の仕方には違いがあります。
看護師が「患者さんのために何かをする場」が病院だとすれば、在宅は「患者さんや家族が持つ力を活かす場」だと思います。

団塊の世代が後期高齢者になる2025年には超高齢化社会となり、「看取りの場が課題となる」といわれています。
それも見据えれば、地域のなかで看取りの場はもっと必要になります。
当センターでは、住み慣れた自宅で最期を迎えたいという方には訪問看護、老老介護や独居で不安がある方にはホスピス在宅と、利用者さんの希望に合わせた選択肢を用意しています。

在宅ホスピスは医師が常駐していないことを不安に感じる人もいますし、その人にとって在宅ホスピスは必ずしも最善というわけではありません。
地域のなかでその人の希望に合う緩和ケアを提供することが重要であり、急性期病院の緩和ケア病棟から在宅まで幅広くみてきたので、相談、調整業務も私の重要な役割だと思っています。

在宅ホスピスでの看護で心がけていることは何でしょうか?

最期まで当たり前の生活ができるようにサポートすることです。
例えば食事もキッチンで手作りしていますので、食事の時間が近づけばご飯が炊けるにおいがしますし、食事は陶器のお皿で提供しています。
また、スタッフが掃除をしますので、掃除機の音もします。生活音やにおいを感じることも、在宅で感じられる安心感のひとつだと思います。
また、病院は治療の場であり、安全が最優先されるのに対し、「家」であるシェアハウスでは、利用者さんと家族の希望を最優先します。事前にリスクは十分説明しますが、主役はあくまでも利用者さんであり、家族です。

看護師として、その人の人生の最終段階に関わることができ、人の生き様を見届けることができる在宅ホスピスは、やりがいのある職場だと感じています。

ファミリー・ホスピス本郷台2

在宅や訪問看護では看護師の判断力が重要
利用者の声も質の高いケアの実践に役立てたい

センター長として心がけていること、苦労していることはありますか?

医師が常駐していないため、重要になるのは看護師の判断力です。
例えば、終末期のがん患者さんに起こることがすべて自然な死へのプロセスではなく、なかにはそのまま看取ってはいけない急変の場合があります。
また、苦痛を取り除くための症状マネジメントはがん看護や緩和ケアの経験がなければ難しく、指導・教育が重要です。
当センターではカンファレンス、ショートミーティングなどで必ず振り返りをし、「この判断は正しかったのか」、「こんな方法もあったのではないか」と皆で共有し、スキルアップをはかっています。

私も在宅は初めてなので、開設から今までの一つひとつの経験、利用者さんからの声が学びとなっています。
今後は、新たなセンターを開設する予定なので、この経験を伝えていくこと、地域にどんなニーズがあるのか、このセンターをもっと知ってもらうためにはどうすればよいのか、これまでの利用者さんの情報をデータ化して示していく必要があると思っています。

終末期のがん患者さんは、入居から亡くなるまでの期間が短い方で2日、長い方でも4ヵ月ほどです。
しかし期間に関係なく、「ここに来てよかった」と言っていただいたり、家族から手紙をもらったりと、看護師として利用者さんの人生の最期に深く関われた、世の中に貢献できているという実感が得られる場です。
死が近づくなかでも利用者さんや家族の笑顔がみられたときには、何よりのモチベーションになります。
また、質の高いケアを実践していくことで、地域の方にセンターのことを知ってもらいたいと思っています。

在宅ホスピスの場では、専門看護師の資格をどのように活かしていますか?

主治医が提案に応じてくれたり、意見を求めてくれたりするのは、専門看護師であること、緩和ケアに長く携わっていることを認めてくれているからだと思います。
横浜市栄区は横のつながりが密で、訪問看護ステーションやケアマネジャーと顔の見える関係を築けており、講演の依頼もいただいています。
専門看護師の知識や経験を広く地域全体に伝えていきたいと思っています。

一方で、在宅はスペシャリストであること以上にジェネラリストであることが求められると思います。
広い視点で利用者さんをみて判断するなかで、さらに専門性が発揮できればよりよいのではないでしょうか。

看取りを支える看護師に問われる「生き方」
取得した資格は「活かし方」が大切

キャリアアップを目指す看護師にメッセージをお願いします。

小笠原利枝さん

看護師の活躍の場は病院だけではありません。
在宅で看取りを支える看護師がもっと増えてほしいと思います。
終末期を支え、看取りに携わることは、自分がどう生きるかを問われていることだと思います。
私自身、「私はこんなふうに生きている」と、人に言える生き方ができているか、常に内省する気持ちで仕事をしています。

また、看護師は仕事を大切にするあまり、プライベートを犠牲にしている人が少なくないのではないでしょうか。
自分の人生を考え、やりたいこと、大事にしたいことを見つめ、プライベートも仕事も充実させてほしいと思います。
私も管理者として働きやすい職場をつくることが重要な役割だと考えています。

キャリアアップでいえば、自分がどの道に進みたいのか、将来を見据えて今どうするかを考えることが大切だと思います。
いずれ在宅をと考えているのであれば必ずしもスペシャリストを目指すのではなく、ジェネラリストとして多くの経験を積んでもよいと思いますし、がん看護に興味があるなら専門看護師や認定看護師などのスペシャリストの道を突き詰めてもよいのではないでしょうか。

また、スペシャリストを目指す人にぜひ伝えたいのは、資格を取るだけでなく、その資格をどう活かすかが大事だということです。
資格を持つのであれば、持ったなりの仕事をするために、常に研鑽し、内省してほしいと思います。


小笠原利枝さん
ファミリー・ホスピス本郷台ハウス
http://f-hospice-hgd.com/
1991年、看護学校卒業後、横浜市立市民病院に入職。97年に神奈川県看護教育大学校がん看護課程、放送大学教養学部卒業。2001年に北里大学大学院看護学研究科がん看護学分野を修了し、同年、横浜市立港湾病院へ異動(2005年に横浜市立みなと赤十字に移行)。同院で看護係長、看護師長を歴任し、2016年にファミリー・ホスピス本郷台ハウスセンター長に就任。現在、横浜市立みなと赤十字病院に週1回勤務するととともに、日本赤十字看護大学兼任講師や岐阜県立看護大学、武蔵野看護大学、北里大学大学院非常勤講師も務める。

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