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がん患者の褥瘡ケアの考え方|看護あるある手技Q&A

仕事に役立つ看護手技 > 疾患・部位別の看護 編

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がん患者さんの褥瘡を予防・ケアするにあたって、通常の褥瘡とは違うポイントはありますか?

特に終末期では、褥瘡の治癒を目指すのではなく、治療との兼ね合いを見ながら緩和的なケアで患者QOLを重視することもあるのよ。

リコ:看護師として褥瘡の予防に気を配る必要があるのは、多くの患者さんに共通する話ですよね。
ただ、がんで治療中の患者さん、とりわけ終末期で緩和ケアを受けている患者さんは、褥瘡の発生率が高いような気がします。

ヨシミ:そうね。特に終末期のがん患者さんは、褥瘡有病率が高いことが報告されているわ。
なぜ、そうなるのか。
そして、どのようにケアすればいいのか、非がん疾患における褥瘡の場合と比べながら、考えてみましょう。

がんと褥瘡の「親和性」は高い

まず、褥瘡の発生要因としては、大きく分けて「組織への物理的圧迫」と「組織の耐久性の低下」の2つがあるけれど、これらに対して、がんという疾患はどのように影響するかしら? 

「組織への物理的圧迫」に関しては、患者さんの可動性や活動性が低下したり、るいそう(羸痩)からの骨突出が生じたりすることで、長時間一定の部位で自身の体重を受けることになり、容易に褥瘡につながってしまうわ。
また、浮腫や低栄養によって慢性的な「組織の耐久性の低下」も起こっていると考えられるわね。
特に、終末期に至って悪液質症候群を呈するようになったら、褥瘡ができる「絶好の条件」が整ったともいえるくらいよ。

また、がんに対する治療が患者さんにダメージを与え、褥瘡が生じやすくなることもあるわ。
例えば、化学療法なら、抗がん剤は正常な細胞にも影響するから、表皮の基底細胞が障害されて角質層が薄くなり、皮脂や汗の分泌が抑制されたり、保湿機能が低下したりしてしまう。
すると、表皮は著しく乾燥して、褥瘡につながりやすくなるの。
当然、放射線療法も照射部位の表皮にダメージを与えるわよね。

こうしてざっくりと考えただけでも、がん患者さんの褥瘡有病率が高い理由はみえてくるわね。
さらに厄介なのは、がん患者さんは褥瘡が生じやすい条件だけでなく、褥瘡が治りにくい条件も併せ持っているので、いったん褥瘡が生じたら難治性となりやすいことね。
褥瘡がなかなか治癒しなければ感染リスクも高まり、敗血症から死に至る可能性だって出てくることになるわ。

褥瘡ケアの「常識」が通じないことも

そういうわけで、病状の進行したがん患者さんや、終末期のがん患者さんについては特に、非がん疾患の場合とは異なる条件を踏まえたうえで、褥瘡の予防やケアをしていく必要があるわ。
また、終末期のがん患者さんの場合は、がん自体と同様に褥瘡も、必ずしも完治を目指すのではなく、QOLを考慮しながら緩和的なケアを提供していくという視点も大切になってくるわ。

例えば、褥瘡予防のための体圧コントロールでは、終末期のがん患者さんの場合、必ずしも体位変換を行うべきだとは限らないの。
体動によってがんの症状による苦痛が増強されるため、むしろあまり動かさないほうがいいこともあるわけ。
その代わり、体との接触面積が広くなるウレタンフォームマットレスを使って予防的に体圧を分散させたり、最低限の体位変換を行うときも絶対に皮膚に摩擦力が加わらないよう浮かせて移動させたりといった配慮をすべきなのよ。

また、がん患者さんの場合、呼吸困難を緩和するためにファウラー位や座位を取ったり、疼痛を緩和するために側臥位や仰臥位を取ったりすることもあるけれど、これらによる圧迫部位で褥瘡が好発することになるから、通常以上に注意しなければならないわね。

そのほかにも、終末期では低栄養に対して静脈栄養や経腸栄養を行うか、褥瘡の局所治療を積極的に行うかといった点で、医師も悩むことが少なくないそうよ。
看護師としても、どんなケアが患者さんにとってベストなのか、通常以上に考える必要がありそうね。


なるほど。
がん患者さんの状態を踏まえて、予防やケアの実施の仕方にはかなりの配慮が必要なんですね。

そういうことね。
特にがん患者さんの場合、褥瘡ケアだけを考えていればいいのではなく、がんの治療や緩和ケアとどちらを優先するかという難しい判断を迫られることもあるわ。
そうした点で、通常の褥瘡ケアと同じ心構えでは臨めないということは覚えておいてね。

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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