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パティシエの作る介護食?!ケアの輪を広げるカフェ「Kamulier」(カムリエ)の思い(前編)

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近年、摂食嚥下障害の患者さん向けの食品や機能に合わせて選択できる食器、口腔ケア製品など、様々な製品の開発が進められています。
しかし、

  • どこで情報を集めたらよいかわからない
  • 市販のものは本当においしいのだろうか
  • 家族と同じメニューを介護食にできないだろうか

など、医療従事者や家族には多くの疑問があるのではないでしょうか。
そんな多くの声に答えたいと、2013年にオープンした「Kamulier」(カムリエ)(東京都千代田区)店長の志水香代さんにお話を伺います。

『介護食』を日常の食事の延長に
口から食べる喜びを伝えたい

「Kamulier」(カムリエ)
店長 志水香代さん

カフェオーナーとパティシエの豊富な経験を持つ「Kamulier」店長の志水香代さん

カフェ形式の情報交換の場
医療者と介護者をつなぐ役割を担う

―「Kamulier」をオープンした経緯を教えてください。

「Kamulier」は、歯科医療総合メーカーの株式会社ジーシーによるプロデュースのもとオープンしたカフェです。
歯の治療は痛い、怖いというイメージを持つ方も少なくありません。
歯科領域に特化したメーカーとして、歯の健康だけでなく、口から食べることや栄養管理に関する情報交換ができる場を提供したいとの思いから計画されました。

「Kamulier」は、医療従事者だけでなく、介護を受けている方やその家族など、誰もが気軽に立ち寄れるように、あえてカフェ形式にしました。
摂食嚥下障害の方でも食べられるケーキや新鮮な野菜と果物を使ったスムージーをはじめ、通常のランチメニューなども用意しています。
その他、市販の介護食や口腔ケアグッズ、食器類の展示販売もしており、実際に見て触れていただくこともできますし、摂食嚥下障害に関する書籍も揃えています。

約100種類の介護食、使いやすさに配慮した食器、口腔ケア商品も充実。歯科衛生士に相談しながら購入することができる

カフェスペースには摂食嚥下障害に関する本も置かれ、自由に読むことができる

―志水さんはどのような経緯で「Kamulier」に携わることになったのでしょうか?

私はカフェの経営兼パティシエをしていました。
「Kamulier」の計画が立ち上がったときに声をかけていただいたのですが、摂食嚥下障害のことも口腔ケアのことも何も知りませんでした。
「Kamulier」の店長を引き受けて以降、毎日が勉強の日々です。
何も関わりのない業界から入ってきたからこそ、疑問に思ったことを素直に当店の管理栄養士や歯科衛生士に伝えることができるのではないかと思っています。

―医療従事者や介護者でも、摂食嚥下障害や介護食の情報は少ないのでしょうか?

市販の介護食があることを知っている方は多いですが、認知度に比べて介護食の利用者は少ないのが現状です。
それは、介護食が「おいしくない」というイメージを持たれていることが一因だと思います。
しかし、ここ2~3年で市販の介護食の開発は急速に進み、見た目も味も非常によくなっています
おいしいと感じられる食事は見た目も重要ですが、見た目が元のメニューと変わらないものが増えているのも近年の介護食の進歩だと思います。

摂食嚥下障害のある方でも安心して食べられる“むせないケーキ”。フルーツそのものの色を活かした目にも楽しい

また、ゲル化剤の進歩により、家庭でも一手間加えるだけで、家族と同じメニューの介護食を作ることもできるようになりました
介護食は特別な食事ではなく、これまで長年食べてきた食事の延長線上にあり、ひと工夫すれば家族みんなで同じ食卓を囲めるのだと実感していただけると思います。

しかし、こうした情報も利用者に伝わらなければ意味がありません。
摂食嚥下障害の方にもおいしく食事を食べてもらうための情報を発信し、私たちが医療従事者と一般の方をつなぐ役割を担えたらと思っています。

介護者と同じ視点だからこそ感じる
複数の専門職が関わるうえでの課題

―摂食嚥下障害のケアで難しさを感じるところはどんなところでしょうか?

摂食嚥下障害は、看護師のほか医師、歯科医師、言語聴覚士、介護職、管理栄養士、歯科衛生士など、非常に多くの専門職が関わっています。
当店では様々な職種の方に参加してもらえるワークショップなどを企画しており、特にここ2~3年はどの職種の方も関心が高くなっていると実感しています。
食事はただ栄養を摂るだけのものではない、見た目、味、香りなど五感を大切に、食べることは生きることであり、生きる喜びにつながることを意識して活動している医療者が増えています
しかし、残念ながらまだそれはすべての医療者に周知されているわけではないのが現状で、難しいと感じることのひとつです。

もうひとつは、医療者と介護者間の “言葉の壁”です。
指導にあたる医療者にとっては使い慣れた用語でも、介護者にとっては初めて聞く用語もあり、介護者の混乱を招きます。
介護者は、退院前に指導を受けたとしても、いざ自宅で食事を作る、介護食のレトルトを選ぶときにわからなくなってしまうケースが多く、当店に相談が多く寄せられています。

―在宅に移行した後の継続的な指導が課題といえるのでしょうか?

口腔ケアやその方に合った食形態の評価は、訪問看護師や管理栄養士が引き続き行っていくことが必要だと思います。
そのためには、退院時に受けている指導内容を共有し、理解度に合わせたフォローアップが大切です。
しかし当店に相談に来られる方のお話を伺っていると、情報が伝わっていないことも多いように感じます。
在宅移行後の生活を充実させていくために、「Kamulier」でも訪問看護師や管理栄養士、歯科衛生士を対象にした情報提供を今後積極的に取り組んでいきたいと考えています。

常駐の専門家がいつでも相談に対応
在宅での介護にすぐに役立つ情報を

―「Kamulier」に相談に来られる介護者には、どのように説明されているのでしょうか?

当店では、管理栄養士と歯科衛生士が常駐し、いつでも相談に応じています。
まずは退院前にどのような指導を受けていたのかを確認しますが、摂食嚥下障害の方向けの食事で介護者が混乱しやすいことの理由のひとつが、食品表示の規格が複数あるということです。

介護者向けにはスマイルケア食の規格がわかりやすいと思いますが、病院でほかの規格をベースに指導を受けていることもあるので、どんな指導を受けたか、どんなものを食べていたかを伺います。
そのうえで、今すぐに必要な市販の介護食や機能に合わせて使いやすい食器などをご紹介します。

また、より理解を深めてもらううえでは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類2013」をもとに、その内容を介護者にも理解できる言葉で説明することが大切だと思います。
(次回「Kamulier」(カムリエ)の挑戦に続く)

EASY TASTY「Kamulier」
〒113-0033 東京都文京区本郷3-2-15 新興ビル1F
TEL 03-3812-6036
営業時間 11:00~19:00(月~土)
定休日 日曜・祭日

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