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パティシエの作る介護食?!ケアの輪を広げるカフェ「Kamulier」(カムリエ)の挑戦(後編)

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「食べることは生きる喜び」。
その思いを伝える情報発信と交流の場としてオープンした「Kamulier」(カムリエ)。
「異なる職種の相互理解を深めたい」「医療者と介護者をつなぎたい」、そんな思いでさまざまなセミナーや交流会を企画しています。
現在の取り組みと今後について、前回「Kamulier」(カムリエ)の思い(前編)に引き続き、「Kamulier」(東京都千代田区)店長の志水香代さんにお話を伺います。

医療者と食の専門家の知識を融合させ
摂食嚥下障害のケアの質向上に貢献したい

「Kamulier」(カムリエ)
店長 志水香代さん

有名パティシエとのコラボで誕生
摂食嚥下障害の方でもおいしく食べられるケーキ

―「Kamulier」で提供している“むせないケーキ”の特徴と開発の経緯を教えてください。

当店の特徴は、管理栄養士や歯科衛生士による医療と、パティシエや調理師による食のコラボレーションです。
そのひとつとして、“摂食嚥下障害がある方でも食べられる”スイーツを開発しました。
日本歯科大学多摩クリニック院長の菊谷武先生に食形態の評価をしていただき、ケーキは日本屈指のパティシエである辻口博啓氏に考案していただきました。
辻口氏考案のケーキのほかにも、同じコンセプトで季節に合わせた様々なケーキをご用意しています。

摂食嚥下障害のある方でも安心して食べられる“飲み込みやすく、むせないケーキ”。
フルーツそのものの味と色を活かして目にも楽しい

摂食嚥下障害がある方は、市販のプリンやムースなどは食べられますが、通常のケーキはスポンジが口腔内に張り付きやすく、飲み込みにくいので不向きです。
それでもケーキにこだわったのは、オープン前に複数の介護施設にヒアリングした際に聞かれた「ショートケーキやあんこの和菓子が食べたい」という多くの声があったからでした。
「スポンジの食感を感じつつも、付着性がなく、舌でつぶすことができるもの」という課題はとても難しいものでした。
和菓子については、当店でも取り扱っている市販の粥ゼリーの素を使った和風のケーキに仕上げました。

ケーキは店内で食べられるほか、全国配送(離島を除く)もしています。
家族みんなが同じケーキを召し上がっていただくことができますし、介護施設や病院でイベント時に注文をいただくことが多いです。

市販の惣菜に一手間かけて
見た目においしいメニューを紹介

―「Kamulier」で開催されている、ワークショップやセミナー、料理教室について教えてください。

ワークショップは、小売店で購入できる食材と家庭にある道具を使い、咀嚼や嚥下困難な方向けのメニューを紹介する介護食料理教室、口腔ケアレッスンなどを開催しています。
今春、企業とコラボしたやわらか食料理教室では、冷凍のやわらか食やコンビニエンスストアのお惣菜などをアレンジしたお花見弁当の作り方を紹介していただきました。
例えば、卵焼きを一度ミキサーで撹拌し、なめらかな形態にしたものに、ゲル化剤を使用し、卵焼きの形に整えるなど、一手間加える工夫を実習体験していただきました。
ただミキサーで撹拌してペースト状にしただけでは味わえない、目にもおいしいお弁当になり、多くの反響がありました。

最近では、訪問看護師から「コンビニエンスストアのお惣菜をペースト食にできないか」などの要望があがっています。
医療者は遠方からの参加も多く、「患者さんや利用者さんによりよいケアを提供したい」という強い思いが伝わってきます。
私たちもそんな医療者の思いに応えていきたいと思っています。

各職種の強みを引き出し合う
相互理解と交流の場を提供

―多職種交流の場も企画されているそうですが、どのような経緯で始まったのでしょうか。

年2回開催している「ケアレストラン」は、介護者や介護に興味のある方、医療者が一堂に介して、食事をしながらざっくばらんに語り合う場です。
あるメーカーの調理師の方のご提案により、一緒に会を開催することができました。ケアレストランはこうした職種間の壁を取り払い、相互に理解し合う場、情報交換の場所にしたいと考えたのです。
また、介護者にも入ってもらうことで、より多くの視点を得ることもできるようになりました。

職場でも他職種との連携、相談の機会はあると思いますが、職場だからこそ打ち明けられない悩みもあると思います。
また、「こんなことをやってみたいのだけれど、どうしたらいいのかわからない」など、同じ職場、職種同士ではわからないこともあります。

職種によって専門性は異なり、共通言語で語ることの難しさはありますが、目の前の摂食嚥下障害がある方に食べる楽しみ、生きる喜びを感じてほしいという願い、目的は一緒です。
職種ごとの専門性、つまり強みを引き出し合う関係を築くことができれば、もっとできることが増えていくのではないかと思います。

そして、協力してくださる各メーカーの方々や調理師の方、パティシエという食の専門家もいます。
摂食嚥下障害の分野では、食の専門家が持っている知識と医療の知識を融合させることで、もっとできることが広がるのではないかと思います。
ケアレストランは、今後も多職種の交流の場として育てていきたいと思っています。

―そのほかに現在、力を入れていることはありますか?

摂食嚥下障害というと、対象は高齢者というイメージがあると思いますが、近年では子どもの摂食嚥下機能障害も課題のひとつです。
子どもは、発達に合わせて訓練を行っていくことで、歯並びが揃い、噛むことで顎や歯槽骨が発達して口腔の容積が広がっていきます。
しかし、最近ではインターネットなどの情報量が膨大で、なかには真逆のことが書かれているものもあります。
お母さんが情報の選択に迷い、うまく食べられない、飲めない子どもが増えているといわれています。
同じ摂食嚥下障害でも高齢者は一度獲得した摂食嚥下が、機能低下が原因でしにくくなったというものですが、子どもは初めて摂食嚥下機能を獲得していく段階にあります。
おのずとアプローチが異なってくるので、管理栄養士やメーカーの協力を得ながら、食育と摂食嚥下訓練を兼ねた食事形態教室を開催しています。

―今後はどんなことに取り組んでいきたいと考えていますか?

当店には医療者、介護者ともに、学会などの医療の最前線の話を知りたい、情報がほしいと来店されます。
その架け橋となるのが今後も当店の基盤であり、情報を発信し続けたいと思っています。

また、当店の“むせないケーキ”をできるだけ多くの方に知っていただきたいです。
目にもおいしいケーキは、食べる楽しみ、生きる喜びを感じさせてくれるものです。
高齢者、介護者が同じ食卓を囲む、そんな時間を当店のおいしいケーキで彩れたらと思います。

“むせないケーキ”は、季節に応じて様々な新商品が登場。
低栄養になりやすい高齢者に配慮し、少量でもエネルギーは約100kcalとしっかり摂れるのも特徴

EASY TASTY「Kamulier」
〒113-0033 東京都文京区本郷3-2-15 新興ビル1F
TEL 03-3812-6036
営業時間 11:00~19:00(月~土)
定休日 日曜・祭日

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