リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

育成が期待される「クリニカル・ナース・リーダー」とは?

最新ナースコラム > ナースのお仕事

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


米国創設、ジェネラリストのエキスパート:クリニカル・ナース・リーダー

 クリニカル・ナース・リーダーという役割をご存知でしょうか?これは米国看護大学協会が認証しているもので、2007年に誕生しました。高度な病態生理学や薬理学、フィジカルアセスメントなどを学んでいますが、ナース・プラクティショナーや専門看護師のような専門分野はもたない、いわば“ジェネラリストのエキスパート”です。
 現在米国では、チーム医療の進展により一人の患者さんに介入する職種が増えていること、医療保険制度の混在によって患者ごとに受けられる医療サービスに違いがあるなど、医療環境が複雑になっています。また医療費の高騰が深刻化しており、それに対応するために、質に応じた医療費支払い制度(P4P※)が導入されています。例えば、退院後30日以内の再入院などに対しては治療費が保険償還されない、といった厳しいルールが設けられているのです。病院側としても、ケアの質は経営に大きく影響するため、質の高いケアを確実に実施することは、大きな課題のひとつとされてきました。

※P4P:Pay for performance

看護の質向上に大きく寄与

 そのような状況下、大きな役割を担っているのがクリニカル・ナース・リーダーという、専門的教育を受けた看護師です。米国看護大学協会では、クリニカル・ナース・リーダーに求める役割として、

・アウトカムのデータ分析
・エビデンスに基づく看護の実践
・多職種連携による患者中心のケア

などをあげています。
 まず「アウトカムのデータ分析」、「エビデンスに基づく看護の実践」を具体的にみてみましょう。患者教育が確実に実施されているか、その内容は適切かをモニタリングし、それが再入院率の減少につながっているかどうかをデータとして示します。さらに、急性期病院で早期離床に取り組み、患者さんのデータ分析から感染管理や褥瘡対策などの新たな課題を浮き彫りにし、次なる課題解決へとつなげていきます。このように看護師としての経験だけでなく、看護の質をデータから評価し、新たな課題を発見して、質の向上につなげます
 次に、「多職種連携による患者中心のケア」という観点から。米国の保健医療システムでは、高度実践看護師という、①ナース・プラクティショナー、②助産師、③専門看護師、④麻酔看護師などを含む、専門の看護師が活躍しています。がん看護、成人老年看護、緩和ケアなどさまざまな分野で活躍をしているスペシャリストたちです。専門分野の細分化、高度化が進むなかで、これらケアのまとめ役が求められてきました。クリニカル・ナース・リーダーはそれぞれのケアのスペシャリストをつなぎ、点ではなく線として課題解決に向けて取り組みます
 看護のまとめ役というと、看護師長のほうが先に思い浮かぶ方が多いかと思います。看護師長との違いですが、クリニカル・ナース・リーダーは、独自にプロジェクトを立ち上げて、1つの課題に対し組織横断的に取り組むことができます。「ケアの質」の管理に集中できるため、成果がみえやすい点も特徴でしょう。ただし、実際に直接ケアをすることがないクリニカル・ナース・リーダーもいます。一方で看護師長は看護管理者として、予算や人員管理などに集中し、職場環境も改善が見込めるという点が異なります。

日本でも育成を開始する施設や認証制度の必要性が話題に

 これまで米国の状況についてみてきましたが、日本でも同様な役割は存在するのでしょうか?日本ではクリニカル・ナース・リーダーの役割を、各病棟の看護師長が担っているのが現状です。多くの施設では、看護師長が教育、指導、管理、ケアの質の保障と、あらゆる面での責任を担っていますが、「管理」と「看護実践の質向上」に向けた取り組みの両立は負担が大きいという指摘もあります。
 日本においても、専門看護師や認定看護師、学会認定の専門資格をもつ特定分野のスペシャリストが増加し、認定看護管理者など、看護管理のスペシャリストもいます。それぞれの役割がオーバーラップすることが多いものの、その統合役を誰が担うのかという点においては曖昧で、病院ごとにスペシャリストたちが個別に話し合いながら連携しているのが現状です。クリニカル・ナース・リーダーが、ケアのアウトカムのモニタリングを的確に行い、臨床における問題を発見し、解決につなげていくこと、さらにそのアウトカムの評価が繰り返し行われることで、質の高いケアを効率よく、安全に提供できるでしょう。ケアの質の向上に向けた取り組みに専念し、アウトカムを示すことで現場の看護師にも成果が伝わりやすく、仕事へのモチベーション向上にもつなげられるのではないでしょうか。
 日本でもクリニカル・ナース・リーダーの役割が注目され、独自に育成を開始する施設が出てきており、その認証制度の必要性についても議論されています。看護師の新たな役割として今後さらに注目されるのではないでしょうか。

TOPへ