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親と自分の将来のために知っておこう!介護の負担を軽くする方法

皆さん、こんにちは!
ナースフルらいふを担当している、伊集院よしみです。

このコラムでは、知らないと損をする「医療まわりのお金のお話」をお届けしています。

介護疲れ、介護ウツ、老々介護・・・。
最近テレビでもよく耳にするようになった介護のコト。
人は必ず歳をとっていくのですから、決して他人事ではありません。
不安を感じない人はいないでしょう。

誰がどうお世話をするかも悩みどころですし、介護にかかるお金はどうするのか、足りるのか、ということも心配です。

介護のお金の節約方法を知っておかないと将来すごく苦労するかも

●Aさんの場合(東京勤務 会社員 45歳)

Aさんの母親は、大阪に住んでいます。
1年前に父親が亡くなってから、一戸建てに一人で住むことになってしまったため、介護問題が表面化しました。
母親の年齢は70歳で、体は元気なものの、認知症を患っています。

一人っ子のAさんは、地元の介護福祉士さんやヘルパーさんらと連絡を密にしながら、遠隔介護と東京での仕事を両立させています。


●Bさんの場合(実家在住 地元勤務 48歳)

東京都内の会社の委託契約で働いていたBさんは、地方で一人暮らしする母親が要介護に。
背骨の圧迫骨折を繰り返し、3回目の圧迫骨折の後、脊柱管狭窄症を引き起こして歩行困難となり、要介護認定されました。
Bさんは介護と仕事を両立させるべく、仕事を地方でできるものに絞り、生活の拠点を実家に移しました。

「昔の同僚6人で集まったら、5人は親が、1人は未婚の叔母が要介護状態で、介護のために会社を辞めた仲間も。みんなでため息をつきました。介護問題は特別なことではなく、ほぼみんなに、ある日突然やってくるのだと実感しました」


SOS

不安に感じてしまいますね。
でも逃げるわけにはいきません。
それに、要介護になると国の介護保険のサービスを利用できますし、費用の負担が重い場合には利用料の一部が戻る制度もあります。
それらの制度を知っておけば、いざという時に慌てずに済みますし、事前に親子で話し合うこともできます。

介護保険や介護に関する支援制度について、みていきましょう。


※この記事の内容は、2015年1月時点の内容です。

80代後半では半数近くが要介護に!?
公的介護保険の基本を知っておこう

長寿国といわれる日本。
平均寿命は男性が80歳、女性が86歳です。
しかし80代前半では男性の約18%、女性の約27%、80代後半では男性の約32%、女性の約48%が介護の必要な状態になっています(要介護の認定を受けています)。

平成25年度介護給付費実態調査の概況

出典:厚生労働省「平成25年度 介護給付費実態調査の概況」をもとに作成
平成 25年度 介護給付費実態調査の概況(平成 25 年5月審査分~平成 26 年4月審査分)

介護が必要となった原因は・・・

  1. 1位/脳血管疾患(脳卒中)18.5%
  2. 2位/認知症15.8%
  3. 3位/高齢による衰弱13.4%

介護が必要となった原因は・・・

・・・となっています。
ほかには、骨折・転倒、関節疾患などが原因で介護が必要になったケースが目立ちます(平成25年国民基礎調査より)。

平成25年度 国民生活基礎調査の概況

出典:厚生労働省「平成25年度 国民生活基礎調査の概況」をもとに作成
平成25年度 国民生活基礎調査の概況

40歳以上で要支援・要介護になったら介護保険が利用できる

介護が必要になった際に助けになるのが、「介護保険」です。
親世代の介護の負担を社会全体で分担するという考え方で、2000年にスタートしています。
40歳以上の人が加入する公的な制度で、40歳~64歳までは健康保険料と一緒に、65歳からは年金から天引きする形で保険料を支払っています。

介護保険のサービスを利用できるのは原則的に65歳以上で介護が必要になった人ですが、40歳~64歳でも認知症や脳血管疾患など、加齢による病気で要介護になったら利用可能です。

まずは介護認定を受ける。
認定度によって利用できる上限が異なる

病気などによって介護が必要になったら、住んでいる地域の「地域包括センター」に相談しましょう。
ケアマネジャーが申請や介護計画など、全てを仕切ってくれます。
要介護認定の窓口は、市町村内に設けられています。
調査員が本人や家族などから体の状態や日常生活で困っていることなどを聞き取り、主治医の意見書などをもとに、介護度が決められます。

介護度は要支援1~2、要介護1~5の計7段階です。

●要介護度別の身体状態のめやす(生命保険文化センター)
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/11.html

あとで詳しく説明しますが、介護度によって利用できるサービスが異なり、利用限度額も要支援1と要介護5では30万円以上の違いがあります。

要介護の人が受けられるのは「在宅サービス」と「施設サービス」

介護保険で利用できるサービスは、まずは大きく要支援か、要介護かによって異なります。
要支援の人は要介護にならないための「介護予防サービス」、要介護なら、在宅で過ごす人向けの「在宅サービス」と、高齢者施設を利用する人向けの「施設サービス」です。

介護サービス

要介護1~5の人が利用できる「在宅サービス」には、ホームヘルパーが調理・掃除・洗濯などの生活援助、入浴や排泄などの身体的介護をしてくれる「訪問介護」や、「訪問入浴介護」、「訪問看護」ほか、出かけてサービスを受ける「通所サービス」(デイサービス)や、「短期入所介護」(ショートステイ)などがあります。
車椅子や介護ベッドなどの「福祉用具の貸与」、「福祉用具購入費・住宅改修費の支給」といった介護環境を整えるサービスも利用できます。

また「施設サービス」とは介護施設に入所して受けるサービスのこと。

施設サービスの種類
特別養護老人ホーム
(介護老人福祉施設)
つねに介護が必要で、在宅での生活が困難な人が必要な介護、機能訓練、療養上の世話を受けるための施設
介護老人保健施設 症状が安定している人が、積極的な治療よりも看護や介護、リハビリを中心とした医療ケアと生活サービスを受けるための施設
介護療養型医療施設 治療が終わったあと、長期の療養が必要な人がサービスを受けるための施設

・・・があります。
特別養護老人ホームについては入居待ちをしている人が多いことから、今年4月より、障害や認知症の人を除き、要介護3以上の人しか新たな入所ができなくなります。
また介護療養型医療施設は、2017年で廃止が決まっています。

費用の自己負担は原則的にサービス料の1割

自己負担はどのくらい?

要介護2か、要介護3かなど、介護度がいくつに認定されるかは、実はすごく重要。
というのも、介護保険では1か月に利用できるサービスの額に上限があり、介護度によってその上限額が違ってくるからです。
介護度が高いほど1か月当たりの支給限度額が多い・・・、つまり、より多くのサービスが利用できます。

介護度別の1ヵ月あたりの利用限度額と自己負担額のめやす

介護度 利用限度額 自己負担額
要支援1 49,700円 4,970円
要支援2 100,400円 10,040円
要介護1 165,800円 16,580円
要介護2 194,800円 19,480円
要介護3 267,500円 26,750円
要介護4 306,000円 30,600円
要介護5 358,300円 35,830円

※支給限度額は標準的な地域の例。
大都市など、介護サービスの単価の違いから支給限度額などが異なる場合がある。
※要支援1、2は2015年から段階的に市区町村の地域支援事業に移され、介護保険サービスから外れます。

利用したサービスにかかる費用のうち、介護を受ける人が支払う自己負担額は、原則1割です。
たとえば要介護1で16万5800円のサービスを受けたとしたら、その1割として、1万6580円を支払えばいいのです。
かなり助かりますよね。

また施設サービスを利用する場合は、施設サービス費用の1割のほかに、施設の居住費と食費が自己負担になります。

ただし、介護保険の内容が改正され、今年8月から、一定以上の所得(年金収入280万円以上程度)の人は自己負担が2割に引き上げられる予定です。

介護保険のほかに自治体サービスもある。

介護保険でどの程度のサービスが受けられるのか、介護保険のサービスだけで足りるのかが気になるところ。
介護についての著書があり、個別相談、セミナー講師としてもご活躍の豊田眞弓先生にお話をうかがいます。

豊田眞弓先生のプロフィール
豊田眞弓先生のプロフィール

豊田先生、はじめまして。
伊集院よしみと申します。

最近、私の周辺にも親の介護に頭を悩ませる人が増えています。
ズバリ、お聞きしたいのですが、介護が必要になった時、介護保険のサービスだけで足りるのでしょうか?

ズバリお答えしたいのですが、残念ながらそうはいきません。
なぜなら、介護が必要な方の体の状態や心の状態、介護に対して希望などによって、介護保険で足りるか、どの程度を賄えるかが大きく異なるからです。

ふ~む。
いちがいにはいえない、個人差が大きい、ということですね。

そのとおりです。
介護される方の中には、自分でできることはなるべく自分でしようと頑張る人もいれば、自分でするのは大変だからと気力を失ってしまう人もいます。
他人ではなく、家族に面倒をみてもらいたい、という人もいます。
個人によって、どの程度の介護を必要としているかが異なるうえ、家族以外の人がお世話をする介護サービスをどの程度受け入れられるか、という差もあるため、ケース・バイ・ケースなのです。

介護保険はフル活用されていない!

家族に面倒をみてもらいたい、という人はたしかに多いような気もします。

そうなんです。
「自己負担1割なら、どんどん利用した方がいい」と思うかもしれませんが、実は介護保険のサービスは必ずしもフル活用されているわけではないんですよ。
厚生労働省によると、要介護1の人では支給限度額の約45%、要介護3では約57%、要介護5でも約63%など、介護保険は4割~6割程度しか利用されていません。

家族にお世話してほしい、家に他人を入れたくない、といった理由があるのですが、介護する人の負担を減らすためには、制度をもっと上手に利用するのが理想的です。

自治体にも介護に関するサービスがある

冒頭でも述べましたが、親が要介護になると、地方の実家に帰省しなければならないとか、仕事を辞める、といった話も耳にします。
やむを得ない場合もありますが、介護保険以外にも、介護に関するサービスがあり、それを利用することで介護の負担を抑えるという方法もあります。

自治体にも介護に関するサービスがある

たとえば、自治体によっては、お弁当を配達してくれる配食サービス(有料)や、紙おむつの給付や購入費の助成などを行っている例が少なくありません。

それらのサービスを上手に利用することで、家族が介護に集中せずにそれまでどおりの生活ができたり、精神的にも余裕を保てたり、ということもできます。
自治体のウェブサイトで、福祉、高齢者福祉、といったメニューを検索し、どんな場合(介護度、収入など)に、どんなサービスが、どの程度の負担で(有料か、無料か)利用できるのかをチェックしてみましょう。
費用の問題もありますから、使えるものはなんでも使う、というわけにはいかないと思います。
とはいえ、介護のプランを考えるうえで、まずは利用できるサービスを知ることが最初の一歩になるかもしれません。

●高齢者向けのサービスメニュー
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/guide/guide.asp?n1=40

●おむつ給付事業(千葉県千葉市)
http://www.city.chiba.jp/chuo/hokenfukushi/koreishogai/omutsu.html

知っておこう!介護保険の自己負担が軽くなる嬉しい制度3つ

「サービスがあっても経済的に料金を支払うのが難しい」というケースもあります。
そこで知っておきたいのが、介護保険の自己負担が軽くなる制度です。

負担が重い場合は「高額介護サービス費制度」でお金が戻る

前にも述べたように、介護保険のサービスを受ける際の自己負担は1割ですが、「高額介護サービス費制度」により、収入が少ない人でも必要なサービスが受けられるよう、1カ月の自己負担額には所得に応じた自己負担額の上限が決められており、それを超える分は払い戻しが受けられます。

たとえば、年金収入が80万円以下で家族全員が住民税非課税なら、上限額は月1万5000円。
もしも要介護5でサービスをフルに使い、3万6000円を支払ったとしても、申請すれば2万1000円が戻ってくるのです。

介護度別の利用限度額

負担段階区分 負担上限額
低所得者等以外 世帯合算で37,200円
住民税世帯非課税者等 世帯合算で24,600円
住民税世帯非課税者で、課税年金収入額と
合計所得金額の合計が80万円以下の人、
生活保護受給者、老齢福祉年金受給者等
個人で15,000円

※今年8月に見直される予定です。

低所得者の施設利用には負担が軽くなる制度も

特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所した場合、居住費や食費は全額、自己負担ですが、収入が低い場合には自己負担の上限が決められ、それを超える分が「特定入所者介護サービス費」として戻ってきます。

年金収入が80万円以下、家族全員が住民税非課税なら、食費は月額1万2000円、居住費は特別養護老人ホームの個室の場合で月額1万3000円が上限となります。

ただし今年8月からは、単身で1000万円超、夫婦で2000万円超の預貯金を持つ人への補助はなくなる予定です。

介護費と医療費が同時にたくさんかかると、さらにお金が戻る

介護費と医療費が同時にたくさんかかった場合には、「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用できる可能性があります。

医療費が自己負担額の上限を超えると超えた分が戻ってくる「高額療養費」を利用して医療費の還付を受けた。
または還元されなくても医療費がかさんだ

「高額介護サービス費制度」で介護費の還付を受けた。
または還付されなくても介護費がかかった

1年間に世帯で支払った金額が
「高額医療・高額介護合算療養費制度」の限度額を超える

超過分が払い戻される

・・・というものです。
限度額は年齢や収入によって異なりますが、70~74歳で一般的な収入の人の場合では、1世帯で1年間に自己負担した医療費と介護費の合計が56万円、年金収入が80万円以下で住民税非課税の場合は19万円を超えると、超えた分が戻ってきます。
しくみが複雑ですが、制度の存在だけでも頭に入れておくといいですね。

●【保存版】医療費を大幅に下げる「高額療養費制度」の使い方
http://nurseful.jp/article/高額療養費制度/

まとめ
いざというときにあわてないよう、介護保険などの公的制度を知っておこう

いかがだったでしょうか?

いざというときに助けになる制度やサービスを知っておくのは大切なこと。
利用できるサービスにはどんなものがあるかを知り、それをどこまで利用し、足りない分をどうするかを考える、という順序で考えるとよさそうです。

具体的に考えてみることで心の準備もできますし、そのときがきたらどうするか、家族で話し合うこともできます。
この記事をきっかけに、介護について考えてみることをオススメします。
気になる介護費用については、次回、お話ししますね。

介護をする人は精神的にも追いつめられるといいます。
介護に直面したお友達にも声をかけて、話を聞いてあげたいものですね。

今回の重要ポイントは以下のとおりです。


  1. 65歳以上の要介護者は介護保険のサービスが利用できる
  2. 介護保険で利用できるサービスは介護度に応じて決まる
  3. 介護保険のサービスを利用するための自己負担は利用料の1割
    (高所得の人は2割)
  4. 介護保険のほかに自治体による支援もある
  5. 介護保険を上手に使えば介護の負担が減る
  6. 費用負担が重い場合は申請すれば費用の一部が戻る

次回は「介護にかかるお金」について解説します。

伊集院よしみのワンポイント
看護師のスキルを活かして介護の現場でも活躍できる

介護の現場で活躍するのは「介護士」と思いがちですが、介護施設においても「看護師」が活躍しています。
病院と違って、主な役割は治療ではなく、日々の健康管理。
見守りながら、何かあった場合は病院などと連携して対応。
また看護師は介護業務を行うことが法律上認められているので、業務に介護が含まれることもあります。

看護師のスキルを活かして介護の現場でも活躍できる

施設によって違いはあるものの、介護施設勤務と病院勤務を比較すると、一般的には介護施設では夜勤の有無を選べる、数年間休職しても復帰しやすいなどの違いがあります。
病院勤務よりお給料は低い傾向にあるようですが、高齢者に寄り添いながらじっくり看護できる喜びがあるようです。

●介護施設での看護師募集ページ
http://nurseful.jp/biz_type-231/

今回の記事の協力者

豊田眞弓先生

豊田眞弓先生

FPラウンジ ばっくすてーじ代表
ファイナンシャル・プランナー、住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー、家計力アップトレーナー

経営誌や経済誌のライターを経て、94年より独立系FPとして活動。
現在は、個人相談業務を行うほか、講演などでも活躍。
新聞や雑誌、サイトなどに連載を含む多数のマネーコラムを寄稿、雑誌などでは記事の監修やアドバイスなども行う。
ライフワークとして子どもの金銭教育にも携わる。
早稲田大学政治経済学部卒。
・2013年度金融知識普及功績者として表彰される

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